休日とお出かけ

 次の日、俺は七時になってもまだ家に居た。

 理由は簡単、今日土曜日だから学校がない。そんなわけでこうしてゆっくりしているわけだ。今は須摩さんにもらった二人のデータを見ている。

 身長体重といった基本的なことから運動能力といったものまで書いてあった。いろいろやってくれたんだな、須摩さん。


「とうか、遊んでー」

「とうか、ごはん」


 そして俺に引っ付いて遊んでとせがむ紫焔と、ごはんとせがむ玖羽は今日も元気いっぱいである。


「玖羽ご飯さっき食べたばかりだろ」

「そうだった」

「それで紫焔は何して遊びたいんだ

「わかんないけど、何かしたい?」

「なんでそこで首をかしげるんだよ」


 二人の相手をするのは、なかなかに骨が折れる。子供だからか元気が有り余ってるんだよな。まあ、俺も体動かさないといざってとき動けなくなるし遊んでやるか。


「よし二人とも、外に遊びに行くぞ」

「遊ぶ―!」

「お外?」

「ああ外だ。その前に少し買い物してからだけどな。


 出かける準備をして、家を出る。向かう先は交換所、こいつらの装備とか色々かってやらないとな。


「いいか、ここでお前たちの装備買うからな」

「装備?」

「美味しいの?」

「玖羽はとりあえず何でもかんでも食べ物と結びつけないようにな?」

「はーい」


 本当にわかってるかなこれ。

 今の二人の格好は長そでにズボンだ。須摩さんからもらったデータで二人が女の子なのはわかったんだが、この服しかなかった。というかお洒落着なんて俺持ってないし、子供用の服すらないからな。あとで服屋に行くとして、今は装備だ。感染者には子供もいるから、子供用の装備も売ってる。


「バックとプロテクターだな」


 鉱石獣を倒しに行く装備は大体どんな奴を見ても変わらない。鉱石を入れるバックに、関節に付けるプロテクター。大体こんなものだ。

 色々と着込んだ所で、遅くなって余計な攻撃を受けるだけだからな。それに、鉱石獣の攻撃は鉄なんて簡単に貫く。半端な防具は意味をなさないんだ。だったら避けたほうがいいってなった。なんでかは知らないが、戦闘してると確かにって思うこともあるんだ。


「まあ、こんなもんか」


 バックとプロテクターを付けた二人はなかなか様になってた。さてあとは武器なんだが、どうすかな。

 玖羽にはメインウエポンが必要だろうし、紫焔はアーツ主体で行くとしてもサブウエポンは必要だ。

 ここは自分で選ばせてみるか。玖羽には好きなように、紫焔は短剣か小銃だな。まあ、銃は反動でかいから物によるが。

 ちなみにアリス周辺限定でだが、銃の使用が認められてる。年齢制限もないが保護者同伴じゃないと幼い子は買うことも使うこともできないし、安全圏の中に入ったら自動でセーフティーがかかる装置がついてたりと制限も多い。


「いいかよく聞いてるんだぞ二人とも、これからお前たちに使う武器を選ぶ。玖羽は使いたいのがあったら言うんだ。紫焔は小さいの選ぶんだ。わかったか?」

「「うん」」

「よし、じゃあ行くぞ」


 感染者が使う武器は、症状によって変わってくる。鉱石変化した感染者は、近接武器を。人外変化した感染者は遠距武器を使うことが多い。鉱石変化によって向上した身体能力を使っての近接戦闘、アーツを使いながらの遠距離攻撃。これが基本的な戦い方だ。


「二人とも使いたいのなかったのか?」


 ぐるっと一周した俺達だが、二人はキョロキョロと辺りを見渡すもこれというものを選ばなかった。


「おねーさんのとこ行きたい」

「行く!」

「おねーさんって、須摩さんの所か?」

「「うん!」」


 おねーさんて、須摩さん名に教えてるんだよ……。まあ、確かに須摩さんにも意見聞いたほうがいいか。どうせ警察署の訓練場使うつもりだったし。

 そんなこんなで、予定を繰り上げて警察署に行くことになった。


「こんばんわ」

「「こんばんわー」」

「ん? 今日は学校休みだから来ないと思っていたけどようこそ。それでなんの用事できたんだい?」

「訓練場使いたくて、二人にいろいろ教えておいたほうがいいかと思ったんで」

「おねーさんあれ使いたい」

「玖羽も使いたい」

「よしよし、じゃあ行こうか」

「いやいや」


 総意って須摩さんは二人を連れて扉の向こう側に消えていった。

 唖然とするおれを置いて行って。

 ちょっと待て、あれって何! 須摩さん二人に昨日なに使わせたんだよ。ああもう! 二人ともついて行ったし。追いかけるしかないか。たぶん訓練場に行ったよな!

 訓練場に行くと、すぐに三人は見つかった。見つかったというか嫌でも目についた。須摩さんに変わったことはない。たとえこの状況を引き起こしたのが須摩さんでも、須摩さん自体に変わりはない。

 変わっていたのは、玖羽と紫焔だった。姿が変わっているわけではなく、持ってるものが特殊だった。

 玖羽はなんか死神が持ってるみたいな鎌を持ってって、紫焔はハンドガンなんだろうけどなんか見たことないのを持ってた。


「須摩さんなんですかこれ!?」

「何って、玖羽と紫焔ちゃんのお気に入りの武器だよ」

「いや、そういうことを聞いてるんじゃなくて……。というかお気に入りの武器って何ですか」

「昨日色々と検査した後に私のコレクションを見せたら、使ってみたいというから使わせてみたんだよ。そしたら気に入ったみたいでね」

「何してるんですか須摩さん。しかもそんな話聞いてませんけど」

「だって聞かれなかったし、言ってもいないからね」


 視界の端では玖羽がなんか楽しそうに鎌を振り回すというか使いこなしてて。紫焔に至っては射撃場でもう撃ち始めようとしていた。とりあえず先に紫焔を止めないと!

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