13話
さとり「ねえねえ2人とも。」
零「何だ?。」
さとりは、鮮やかな色の瞳をキラキラさせながら言った。
さとり「2人は、好きな人いるの?」
2人「「は!?」」
さとりのそれは爆弾発言。
2人は顔を真っ赤に染めながらあわあわと慌てている。
さとり「あ、図星だー!。」
ニヤニヤと真っ赤な2人を笑いながら、さとりは更に2人を弄る。
さとり「うんうん、2人ともそう言うお年頃だもんねぇ…。分かるよー、思春期だもんねー。
でも、好きなら早く告白しないと取られちゃうよー?可愛い子とか魅力的な子なら尚更。」
その声は2人を弄るような声であったが、途中からは本気で心配するような、そんな声だった。
きっと、さとりなりの応援なのだろう。
博音「ああ、そうだな。」
零「それは一理ある。」
それまで黙っていた2人が、何かを決意したかのように口を開いた。
零「ああ、お前の言う通り好きな奴がいる。
すごく可愛くて、魅力的な子が。」
博音「零の言う通りだ。好きすぎて、壊れそうなほど可愛い。」
さとり「うわー、ガチのやつだぁ…。」
若干引き気味になりながら、さとりは2人を苦笑いで見つめた。
さとり「んー、折角揶揄おうと思ったのになー。」
零「揶揄う気満々だったのかよ。」
博音「さとりらしくはあるがな。」
さとり「まあ、2人が本気なら応援するよー!私は君の幼馴染みだからねー。」
零「おー。」
博音「感謝する。」
2人が返事を返すと、さとりは思い返したように言った。
さとり「ああ、今聞いた限りでは…。
2人とも、同じ子に恋してるでしょ。」
さとりの突然の発言に、2人は含んでいたジュースを思い切り吹き出した。
さとり「ちょ、溢さないでよー。掃除するの私なんだぞー。」
そう言いながら、さとりは台所から布巾を取ってきて二人の溢したジュースを拭いた。
零「な、何を根拠に!?」
博音「れ、零の言う通りだ。」
さとり「んー…。」
自分の手元にあるジュースを飲みながら、さとりは淡々と冷静に応えた。
さとり「何となく、かなぁ?。
零の発言のあとに、博音くん「零の言う通りだ」って言ったから、多分そうじゃないかって。幼馴染みの勘と言うやつだよ青春くん。」
零「誰が青春くんだ。」
博音「まあ、さとりの言う通りなんだが…。」
2人は顔を見合わせながら、はぁ…とため息をついた。
2人からすれば、好きな人に別に好きな人がいると勘違いされている状況にあるのだが。
この関係を壊したくない2人は、このまま話を進めることにしたようだった。
さとり「2人が一番青春してるねぇ…。私も青春したいなー、恋してみたい~。」
はぁぁ…とため息をつくさとりを横目に、博音は話し出した。
博音「恋は、するものじゃなくて落ちるものだと思う。自然に、気づけば好きになっているものだ。」
さとり「そうかなぁー?。」
零「ああ。しようと思ってできるものじゃない。いつか、きっとお前にもできる。好きだって思える奴が。」
博音「それまで時間がかかるかもしれないが、待っていれば必ずできる。」
さとり「人って変わるものだねぇ…。恋?何だそれ美味しいのか?状況の二人だったのにィ…。いつの間にか置いてかれちゃったって感じだなぁ…。でも、2人が言うなら、きっとそうだねー。私は、いつか恋に落ちるのを気長に待つとするよー。」
フフフ、と笑いながらさとりは2人を見つめた。
強い意思の宿る、2人の真剣な瞳。
さとりは納得して、この話は幕を閉じたのだった。
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