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松浦は目を覚ます。何時間寝てたのか分からなかった。
頭痛はなくなっていた。喉がカラカラに乾いていた。
水を飲み、外を見る。窓の外も真っ暗。
そして、もう一度布団に潜った。聞き耳を立てる。何も物音はしない。
三日か四日後には鉄板を引き上げなければならない。面倒くさいと思う。その面倒くささが松浦を再び睡眠へと引っ張っていった。
次目覚めたのはドアのノックの音で。
松浦は、ちょっと待って。と答えた。
薄暗い廊下。朝方。
起き上がり布団をはたいて寝室へ片付ける。
水の入ったペットボトルを取り、女の子の部屋をノックする。
「出てきてもいいよ」
出て来た女の子にペットボトルを渡す。
女の子はゆっくり取ったが、急いで水を飲み干した。よほど喉が乾いてたらしい。
我慢の限界でノックしたんだな。と松浦は思った。
「トイレって?」
女の子は言った。
松浦は用を足す時はあの焼却炉でしている。だが今は男三人が中にいる。
「普段なら焼却炉だが」
松浦は言い淀んだ。
「外かな」
「出てもいいの?」
女の子は意外だと思ったらしい。
「焼却炉がいいの?」
松浦の問いに女の子は首を振る。
松浦は外に出られる場所に行く。
「ハシゴに気をつけてね」
箱のティッシュを渡す。
女の子が外に出てる間に倉庫を覗く。
けっこうな食べ跡。思ってたより食べていた。
真っ暗だし食べて寝るしかなかったしな。懐中電灯の場所も教えるの気付かなかった。悪い事をした。と思いながら、適当に食料を開けて口に入れた。
食べながら通路に。女の子が戻って来た。
「真っ暗で悪かったね。懐中電灯も教えなかったし」
松浦は謝った。女の子は首を振る。
松浦は日課の屋上へ上がる。いつもの独り言を言う。
女の子は勝手にウロつかれても困るからそばに居て欲しかった。
杞憂に終わった。女の子は黙ってついてきた。
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