.4
次の日目覚めたのはまだ薄暗い明け方。オーロラが見えないので多分朝の六時か七時と松浦は判断。だんだんと日が昇るのが遅くなっている。
オーロラはあの事件以降から夜になると見え始めるようになった。
時計は全く分からない。電池はあるのだが必要ない為、止まった時間のまま。
いつものように、今日は晴れ。とつぶやき、屋上に上がる。上がりきる前に目が完全に醒めた。
入り口の門に四人の人影。誰もがリュックを背負い手には杖代わりの棒を持っている。明らかに人間だった。
覗き込むように門の方を見る。望遠鏡はあるが施設内に置きっ放し。
取りに戻ろうとしたが足が動かなかった。
来るな。来るな。と松浦は呟く。が四人は入って来た。
施設内にたくさんのゾンビが居ますように。と普段とは真逆の事を祈った。
念じた願いは滅多に叶わない。
四人の人間は入って来るし、ゾンビも焼却炉に落ちている三体だけ。
焼却炉以外のドアは全て溶接して入れない。他の部屋へ入るには外の窓に打ち付けた板を壊してから入るか、天井のダクトから入るか。
屋上に登られても困る。松浦は焦る。
多少の物は盗っていかれるだろうが、必要な物はたいがい、こっちの通路へ持ってきてある。
「少しだけなら盗られても仕方ない。そう。何も無い。あるのは服と車と…」
独り言をしてる自分に気付き松浦は手で口を覆った。
部屋へ戻り静かにするも、四人が何をしているのか、何をするのか気になり仕方ない。
「ここに住むのが一番困る」
松浦の独り言。
コッソリと覗くにはダクトから。だが物音がする。
松浦は部屋の中をウロウロする。
誰か居ませんか?と声がした。女の声だった。
松浦は悩んだ。が、このままだと居座られそうなので出てく事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます