[再掲]SS 隣のお姉さんとの幼馴染百合
私は今日から花の女子高生。そんな風に生き込んで家を出ると隣の家から昔からよくしてもらっているお姉さんが、タイミング良く出てきた。
「あ、おはようー」
私にとって実姉のようなその人は、私にとっての初恋の人で今もなお思い続けている人だ。
「おはようございます!」
私は、頭を下げながら挨拶を返す。
昔からの知り合いならそろそろタメ口でもいいのでは? なんて毎日のように考えているけど、実践できないまま私は、生きている。
するとお姉さんは、驚いた様子で言った。
「そっか。
そう言いながら、私よりも少し背の小さいお姉さんは、ゆっくりと私の方向に足を進めて手が届く距離まで近づくと、私の頭を数回優しく撫でてくれた。
「エヘヘ」
私はお姉さんに撫でられると、嬉しくなってそんな笑みを浮かべた。
もちろんお姉さんが、近くにいるのに対しての照れ隠しという意味が、ないわけではない。
私の頭を撫で終わったお姉さんは、歩きだしながら雑談で、私に質問を投げかけてきた。
「華ちゃんは、彼氏とか作るつもりはないの? 正直華ちゃんめちゃくちゃ可愛いからモテると思うけどなー」
お姉さんが私に対して可愛いなんて言ってくれたのが、久しぶりすぎて顔が熱く赤くなってしまうが、それをなんとかお姉さんには隠して質問に返答する
「ないですね。好きな人はいますけど」
彼氏は作らない。けど彼女は作りたい。そして好きな人はお姉さんです。
こんなことが今口に出して言えたら、私の気持ちは叶うのかな。
「好きな人いるの? だれ? 誰? 私の知ってる人?」
予想以上の食いつきだった。案外お姉さんは恋バナとかそういうものが好きなのかもしれない。
私──全然お姉さんのこと知らないや。
「まぁ絶対知ってる人でしょうね」
お姉さんさんですよ。
そう言いたい。言いたい。けど言えない。勇気がなくて言えない。
そこでお姉さんは、意外なことを言った。
「私絶対知ってる人。もしかしてそれって──私だったりする?」
お姉さんは、自分自身を指指しながらあてずっぽうで言ったのか、表情は困った様子というか笑っているというか、そんな感じの表情だった。
私は、正解を当てられるなんて微塵も思っていなかったので、額に汗をかきながらなんとか誤魔化そうとするが、無理だった。
こんな精神状態で、誤魔化されるわけがなかった。
だから私は逃げた。
「あ、もう行かないと遅れちゃう。それじゃあお姉さんまた今度」
そう言って私は、逃げた。
せっかく思いを伝えるチャンスを自らの手で、潰した。
お姉さんが言った『私だったりする?』が、この子に好かれるのなんて嫌だという意味なのか、この子に好かれてたらいいなという意味だったのかは、私には判断のしようもないけれど、それを知る資格すら私にはない。
だって私は、いつもこんな風に気持ちを伝えずに逃げているのだから。
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