[再掲]SS キスの日の幼馴染百合

 高校からの帰り道太陽が沈み始め、空がオレンジ色に染めり始めた。そんな頃。

 記憶に存在している始めの日から変わらず、いつもどおり隣を歩いている私の彼女が、少し恥ずかしそうにしながら言った。


「今日キスの日だって」


 私は首を傾げた。

 キスの日ということは知っていたけれど、それを彼女が突然言ってきた理由が私には、わからなかったからだ。

 すると首を傾げていた私を見て彼女は、小声で誰にも聞こえないように耳元に囁いた。


「キスの日にキスしないなんて、私嫌だ」


 そう言った彼女は、顔を赤くしながら私の制服の裾を引っ張っていた。

 まるで少しばかり私を急かすように。

 早く。早くして。そう聞こえてくる。

 そんな幻聴が彼女の裾引っ張りからは、聞こえてくる気がした。

 そんな表情をされて、そんなことを言われて、しないと言うほど私は、性格が悪いつもりはないので、裾引っ張りをしている腕を逆にこちらが引っ張り、彼女を近づかせると私はそのまま彼女にキスをした。

 恥ずかしそうに赤面している彼女に、キスをした。

 数秒後彼女から離れる。

 そして彼女を見ると、笑顔だった。

 とても良いものを貰った様に笑顔だった。

 満面の笑みだった。

 そんな彼女を見て私もなんだか微笑ましくなって、自然と笑顔になっていった。


 その後は、二人仲良く手を繋いで帰っていった。

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