第28話 とある森で暮らしているランラリルンラルンパッパ
ランラリルンラルンパッパ♪
森の朝はいつも清々しい。
私はベッドから立ち上がると、
すぐに窓を開けてみんなに挨拶するの。
おはよう、おひさま。
おはよう、小鳥さん。
そうするとね、
みんなが明るく答えてくれるの。
おひさまが、キラキラ。
小鳥さんが、チュンチュン。
みんなの挨拶で
私はとても笑顔になるわ。
ランラリルンラルンパッパ♪
朝ごはんは、いつもパンを焼くの。
ポカポカと温かいパンは、
とてもふわふわしていて、
とても良い香りがするの。
ランラリルンラルンパッパ♪
ごはんを食べたら
お洋服を洗濯して
お外に干すわ。
キラキラしたおひさまが
お洋服を乾かしてくれる。
だから私はおひさまにお礼をするの。
いつもありがとう、おひさま。
ランラリルンラルンパッパ♪
天気が良い日は、
お外に椅子を置いて
本を読むのよ。
いつも読む本は決まっていてね、
王子様とお姫様との恋のお話。
何度読み返しても、
胸がドキドキして
とても嬉しい気持ちになるの。
ランラリルンラルンパッパ♪
私はみんなにお薬を売って
生活をしているの。
みんなの怪我や病気を直して
みんなが明るい笑顔を見せてくれることが
私は何よりも嬉しいの。
だからお昼が近づくと、
私はカバンにクスリを入れて
近くの街に下りていくわ。
ランラリルンラルンパッパ♪
道中はいつも歌を歌って歩くの。
オンチで少し恥ずかしいけど、
小鳥さんもお花さんも
私の歌にあわせて、
楽しそうに体を揺らしてくれる。
だから私は、大きな声で
歌を歌うのよ。
ランラリルンラルンパッパ♪
ときどき、私の歌を聞いて
森の動物さんも姿を見せてくれるわ。
彼らは私の歌を楽しそうに聞いて、
一緒に歌おうといつも言ってくれるの。
「グハハハ! 小娘! こんなところで
奇声を上げて歩いているとは不用心だな!
この魔族で最強と呼び声の高い俺様が
貴様を骨も残さず食らってくれるわ!」
森の動物さんが
どうか一緒に歌いましょうと声をかけてきたわ。
私は嬉しくて、
もちろん一緒に歌いましょうと
笑顔になるの。
「な……貴様! 人間のくせに
そんな残忍で卑猥な言葉を魔族に投げかけるとは!
くそ……貴様! 俺を舐めているな」
一緒に歌を歌ったら
その動物さんと森の中で
おいかけっこするの。
きゃあきゃあとお花畑を駆けながら
私も動物さんもキラキラと笑うのよ。
「この……貴様! 逃げるな!
てか速!? こんな肥溜めのような
泥だらけの地面でなんつうスピードだ!」
おいかけっこして、動物さんも
少し疲れたみたい。
だから私も一休みすることにして
お手製のドリンクを動物さんに
プレゼントしたわ。
動物さんはすごくお礼を言ってくれて
お手製ドリンクをごくごく飲んでくれるの。
「ぶわ! てめえ、何投げつけてん……
ぎゃあああああ! これ強酸じゃねえか!
なんでそんな瓶を持ち歩いて……
やめ……ジュッていってる! 煙出てる!」
お手製ドリンクで元気になった動物さんが
踊りを披露してくれたわ。
とても楽しい踊りで、
私もその姿を見てケラケラ
はしたないけど大きな声で
笑っちゃったの。
「てめえ! 何笑ってんだコラ!
焼けただれた顔を見て、よく笑えんな!
性格悪すぎだぞ!
てか笑い方が怖い!
白目剥いて泡吹いてんぞ!」
踊りのお礼に、
私も精一杯のお歌をプレゼントするの。
心をこめて言葉を紡いでいくわ。
光を蝕む漆黒の炎よ。
我が祈りを喰らいて現出せん。
「き……貴様、それは詠唱……
まさか貴様……魔道士か!?」
地に堕ちる神――
天を衝く悪魔――
闇に照らされた未来に――
地獄の亡者が賛歌を唄う。
「馬鹿な! 何だこの魔術は!?
空が闇色に染まり、地面から得体の知れん
なんかグネグネしたものがああああ!?」
生者は転化し死者となり――
死者は転化し生者となる。
条理は不条理に飲み込まれ
不条理が理を駆逐する。
「なんだコイツラは!? なんか地面から
ゾンビチックなものが!! あと空から
カエルとか蛇とか露出狂とかが
降ってくるううううう!
怖い! 怖いよおおおおおお!」
古代魔法――パフパフ!
「ぐうおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおお!」
私の歌に、動物さんが
大きな声を上げて喜んでくれた。
これで私たち二人は新しいお友達。
これからも一緒に遊ぼうね。
そう思っていたんだけど――
もうそのお友達には会えないみたい。
ランラリルンラ――
ルンパッパ――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます