第70話 呼ばれて

 莉菜は予備校の帰り、電車の座席に座って参考書を読んでいた。

 その電車は途中から地下に潜って、地下鉄に直通となる。窓の外が暗くなった後も参考書に目を落としていると、名前を呼ばれたような気がして彼女は顔を上げた。

 しかし辺りに知り合いらしき人影は見えなかった。

 ふと向かいの窓ガラスに目をやると、車内の様子が鏡のように映し出されている。

 莉菜の向かいのガラスにはなぜか彼女の姿がなく、代わりに3年前に亡くなった彼女の姉が映っていた。

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