第17話


動乱(第二部)17


これよりも前昭和6年に関東軍に板垣高級参謀と石原が赴任して奉天郊外の柳条湖で、南満州鉄道の線路をが爆破されたとして、

関東軍が一斉に張学良軍を攻撃して満州事変が始まり、朝鮮駐留軍も満州になだれ込み、またたく間に満州全土を占領してし、

まったのです、


石原は溥儀を皇帝として満州帝国を建国したのです、中華民国は国際連盟に提訴した為、リットン調査団が満州に派遣されて、

半年による調査の結果、関東軍がわざと線路を爆破して張学良軍の仕業に見せかけた事が判明し、国際連盟は満州帝国は承認、

せず、


関東軍の撤退をせまった為に日本は国際連盟を脱退して、孤立の道を歩む事になったのです、新一はとうとう石原が独断で、

やってしまった、それを陸軍中央が追認するなど、もはや組織だつた軍隊とは認められないと思ったのです、これにより、

中国全土に戦火が広がったのです、


天皇が心配して陸軍大臣に尋ねると、半年もあれば戦火はやみますと言ったのですが、中国軍の抵抗は激しくずるずると、

泥沼に引き込まれ昭和12年になっても一向に収まる気配はなかったのです、そのあと東條秀樹が満州に赴任し益々戦線を、

拡大していきます、


石原は中央にもどりましたが、処罰される事はなく軍務局作戦課長に就任したのです、海軍省に石原が訪ねてきたので応接、

を進めると、開口一番神崎さんの言う通りになってしまいましたと言うので、満州国建設まではあなたのシナリオ通りでし、

たが、


関東軍は大陸への侵攻を深めています、貴方が戦線不拡大を中央から命令しても聞かないでしょう、あなた自信がその前例、

を作ってしまったのでよと言うと、まことに人の考えはわからない、拡大しても何の得にもならず、戦費の浪費をしている、

だけです何か良い方法はありませんかと聞くので、


東條を陸軍大臣にしない事です、すれば人事権を振り回し常識あるものを片っ端から左遷、又わ予備役にまわしますよと言う、

と彼の取り巻きは多いですから難しいですねと言うので、貴方がもう少し周りに理解を示せば取り込めますよ、例えば戦線を、

とめどなく拡大して、


南京、北京を占領すると言えば幹部は驚きますが、若手はすべてあなたについてくるでしょう、それで東條を左遷するので、

す、そして陸軍大臣になり過激派をことごとく予備役に回せば、大陸への侵攻はあきらめますと言うと、なるほど良い方法、

ですが、


私にはできませんと笑い、貴方と山本さんが次官、軍務局長をやっているのは、海軍の過激派を抑える為ですねと聞くので、

陸軍がドイツよりになるのを防ぐ為でもあります、世界の孤児になったので陸軍はロシア、イギリス、アメリカを牽制する、

のにドイツに近寄ろうとするでしょう、


同盟なんて絶対結ばせませんよと言うと、こうなったのは全て陸軍のせいですかと聞くので、そうです、過激派を生みだした、

のもあなた達ですよと言うと、行きつくところまで行くしかないかと瞑目したのです、どうですか一献と言うと、下戸なんで、

すが付き合いましょうと笑うので、


連れ立って海軍省をでて築地の料理屋に行き、こ上がりに坐ると、女将が陸軍さんをお連れになるのは初めてですねと二人に、

酌をすると、石原が飲みほしたので、無理しなくて良いですよ、女将何か腹に溜まるものを石原閣下に出してくれと言うと、

はい、海鮮ドンを出しますと席を立ったのです、


女将がハイと言って海鮮ドンを出すと新一と二人で美味しい、美味しいと食べたのです、これだけ食べれば酔いませんよと言、

って、酌をすると飲み乾してほんとだ、全然アルコールの味がしないと笑ったのです、石原がこれからどうなりますかねと言、

うので、


石原さんが思っている通りに展開しますよと言うと、そうですねドイツは前回の恨みがありますのでまずはソ連と手を組み、

ポーランドに侵攻して分割します、次にマジノ線の裏側からフランスに侵攻して、イギリス軍を海に落としてフランスを、

占領します、


次々と侵攻してイギリスを除いて欧州全域を占領して、軍備物資を調達してイギリス攻略に向かいますが、日本と同じ島国、

です、渡海して侵攻するのは難しい、イギリスはアメリカに助けを求めます、しかし中々アメリカの議会は参戦は認めない、

でしょう、


ドイツに勝利しても得るものはないからです、南西諸島、中国のドイツ権益は先の大戦ですべて日本の物になっていますから、

ね、日本陸軍は仮想敵国であるとソ連とドイツが手を組んだとなれば、ドイツとの同盟論は吹き飛びますよ、しかしイギリス、

を屈服させられないと分かったドイツは、


矛先を変えてソ連に侵攻しますが、あのナポレオンも攻略できなかったソ連です、冬になり多くの戦死者をだして撤退するしか、

ありません、ドイツがフランスを占領したときに陸軍が仏領インドシナへ進駐すればアメリカが石油禁輸などの経済封鎖を行い、

ます、


日本はズルズルとアメリカとの戦争に巻き込まれて、やがて崩壊するでしょうと言うので、さすが陸大の秀才だ私もそう思っ、

ていますと言うと、これを防ぐシナリオは東條排除しかありませんかと酒を飲みほしたのです、おそらくドイツが欧州を占領、

したときに、


またもやドイツとの同盟論が沸き上がります、私と山本が現職にいれば防げますが、いなければ海軍も賛成して同盟を結ぶ事、

になり、日本がアメリカに締め付けられればアメリカと戦争になり、アメリカは日本、ドイツに宣戦布告してヨーロッパ戦に、

参戦しますよ、


ルーズベルトはそれを待っているのです、日本は全ての権益はなくなり外国からは撤退しますが、アメリカに占領されても国、

が滅びる事はありません、危険なのはソ連がカラフト、千島列島に隙間をついて侵攻して、北海道を実行支配すれば大戦後は、

アメリカとソ連の紛争に、


巻き込まれ日本人同士で戦う事になりかねませんと言ったのです、何としても戦線の拡大は止めなければなりません、一人に、

なっても、のろしを上げますよ、心ある陸軍軍人がいる事を祈りますと瞑目したのです、色々歓談すると石原は帰って行った、

のです、


山本さんが先ほど来て奥の方で飲んでいますよと言うので、ここに呼んでくれと言うと、女将が迎えにいくとこ上がりに上がり、珍しい奴と飲んでいるではないかと言うので、お前も石原の話を聞けばよかったのにと言うと、わしは秀才は苦手なんだよと、

酒を飲みほしたのです、


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る