テスト終了
「終わった」
良平はテストが終わると、両手を上げて背伸びをした。
今日で中間テストが終了し、明日から通常授業だ。
「良平くん、お疲れ様」
いつものように恵里菜がやってくる。
何でこんなにも話しかけてくるのか不思議でならないが、良平にとってクラスメイトで一番仲良くなったと言ってもいいだろう。
「お疲れ」
良平は返事だけし、教室から出ようとする。
テストが終わるまで志織によってイチャイチャを禁止されてしまったため、今の桃花は欲求不満だろう。
すぐに帰って満たしてあげなければならない。
「もう、つれないな~」
教室から出ていく良平を、恵里菜は頬を膨らまして見ることしかできなかった。
☆ ☆ ☆
「やっとお兄さんとイチャイチャ出来ます」
「そうだな」
家に帰ってきて早々に、桃花は良平に抱きつく。
期間にして数日だったとはいえ、イチャつけなかった桃花はかなり辛かっただろう。
今までイチャイチャすることが当たり前だったのも原因だ。
別れることは決してないが、修学旅行で数日離れることになったらどうなるのだろうか?
桃花の性格からして耐えるのはしんどいかもしれない。
流石に休むと詩織が怒ってしまうために行くことになるだろう。
その間の桃花のケアは詩織に任せるしいかない。
「んん……」
着替えることせず、良平は桃花にキスをする。
沢山してきたキス……これからもほぼ毎日することになるだろう。
「ずっと一緒ですよ」
「わかってるよ」
いつものように手錠をつけ、離れないことをアピール。
これが当たり前になっているからか、桃花は繋がれて確実に安心している。
手錠があれば物理的に離れるとううことがないので、毎日でも繋いでいたい。
どうしようもないくらいに良平は桃花を独占し、結婚することになっても変わることはないだろう。
大学に行ったら桃花は間違いなく合コンなどに誘われるため、絶対に良平は彼女を進学させない。
それは桃花の望みでもあるだろう。
夏休み明けに教室で結婚しようと言ったのだから。
「手錠もう一つ注文した」
「そうなのですか?」
「うん。詩織に没収されてたから」
テスト期間中、桃花が逃げないように詩織が使っていたほどだ。
今度の期末テストもこうなることが予想でき、良平は予備を注文した。
これで没収されたとしても問題はない。
ただ、バレた時が怖いだろう。
「お兄さんって詩織ちゃんには甘いですよね」
「そうかもしれないな。妹だし」
母親はうざったいテンションなので冷たくするが、詩織とは血の繋がりがある家族なので大事に決まっている。
どんなに感情が気迫でも、詩織とはずっと一緒暮らしてきたのだから。
それに家事全般は任せっきりなので、良平は詩織に頭が上がらない。
そさらには詩織は過去に何度も良平の感情を取り戻そうと頑張ってくれた……他の人より特別に決まっている。
もし、桃花という彼女が出来ずにいたら、良平は詩織に将来は依存していたかもしいれない。
「実は付き合う前からお兄さんのことは相談されてたんですよ。どうすれば感情を面に出してくれるかって」
「そうなのか?」
「はい」
桃花は感情豊かなため、相談するにはもってこいの相手だ。
まさか相談しているなんて良平は思ってもいなかったが。
「だから前々からブラコンだと思っていましたけど、本当にそうでしたね」
「そういえば二学期が始まった頃に言ってたな」
桃花は九月の始めに詩織にブラコンじゃないよね? と質問していた。
その頃は否定していたが、今の詩織は完全にブラコンだ。
「はい。ここまで重度とは予想外でしたけど」
ここ最近の詩織は良平に甘えてくる。
流石に桃花がいるから遠慮している感じはあるが、いなかったらブラコン全開で良平に接してしただろう。
いや、桃花が良平の感情を引き出してくれたから詩織はこうなったのかもしれない。
今の志織は桃花に嫉妬しているのだから。
「普通の兄妹はあんなに仲良くならないんですけどね」
桃花も嫉妬しているらしく、「むう……」と頬を膨らます。
「詩織は妹だから」
「そうなんですけど……」
嫉妬は理屈ではないのだろう。
彼氏が実の妹と仲良くしていたら彼女は嫉妬してしまうらしい。
それは良平にもわかり、桃花が他の人と仲良くしていたら嫉妬しているらしくしてしまうだろう。
良平一筋の桃花にあり得ないことだが。
「大丈夫だよ。俺が婚姻届だそうとしたの忘れた?」
「お兄さんのことを忘れるなんてことはないですよ。あの時はニヤニヤが止まりませんでした」
どんなに兄妹で仲良くしていても結婚することは出来ない。
対して桃花は良平と将来は結婚することが可能だ。
「そうですね。兄妹ではエッチなことも出来ませんしね」
「うん」
二人はイチャイチャ出来なかった時間を埋めるかのように身体を重ねた。
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