異常すぎる
「桃花」
「きゃ……はぁん……」
学校から帰ってきて来た瞬間に、良平は桃花をソファーに押し倒して噛みつく。
今日は手錠で繋がれてたためにずっと一緒にいた二人であるが、学校では人の目があって噛みつくことが出来なかった。
だから家に着いたらすぐに噛みついてしまったのだ。
基本的に人目があってもイチャつくことを気にしない良平だけど、独占欲が強いために他の人に桃花が気持ち良くしている顔を見せたくない。
だから二人きりの時にしか良平は噛みつくことをしなく、学校では我慢していた。
昼休みは二人きりになって、良平は桃花に噛みついたが。
「はあぁぁ~……やぁん」
いつものように桃花は身体を大きく震わせ、蕩けた表情になる。
日に日に良平の噛みつき症候群は頻度や時間が増しており、休みの日はご飯の時以外はずっと噛みついている勢いだ。
桃花にとっては良平に噛みつかれることは幸せでしかなく、もっと噛みついてほしいのだろう。
「桃花の血が欲しい」
「やん。好きななけ飲んでください」
良平の言葉は最早吸血鬼と変わらないが、桃花がそれを断るわけがない。
何にせよ良平が桃花を求めていることに変わりないのだから。
桃花と付き合い出してから良平は今までなかった欲求が出てきて、あり得ないほどの異常行動を取る。
噛みつき、吸血、手錠で繋ぐなど普通のカップルでは絶対にしないことを普通にしてしまう。
それを全て受け入れる桃花も凄いが、良平は明らかに異常だ。
今までほとんど何も思わなかった影響なのだろう、やることに一切の躊躇いがない。
「いただきます」
まるで吸血鬼が食事をするかのように良平は桃花の首に思い切り噛みつき、出てきた血を啜っていく。
別に美味しいと思うわけではないが、良平は吸血を止めることが出来ない。
もちろん大量の血を飲むわけではなく、したとしても数分程度。
「はぁん……気持ち良い……」
血を啜られるのも快感なのだろう、桃花はずっと甘い声を出している。
十秒に一度くらいに身体を大きく震わせ、あり得ないほど桃花は快感に溺れていく。
「毎日こうしてほしいですよぉ。いっぱい、いっぱい血を飲んでください」
「本当に特殊性癖だよね……」
「し、詩織ちゃん……ひゃあん」
自分の部屋まで我慢出来なかったために良平はリビングで噛みつき、それを詩織に見られてしまった。
それでも良平は一切止めることがなく、未だに桃花の血を啜っている。
「……いい加減止めなさい」
噛みつきを止めない良平に詩織は怒りを露にし、グーで頭を思い切り殴った。
「いしゃい……」
詩織に殴られたのに良平はまだ止めず、噛みついたまま文句を言う。
基本的に人前で噛みつくことはないが、詩織は妹なので例外なのだろう。
「だから止めい」
殴っても埒があかないと思ったのか、詩織は良平を桃花から引き離そうとする。
「離れたくない」
「離れなさい。生の血なんて飲んでいいものじゃないでしょ」
「むう……」
不満たらたらながら、良平は仕方なく桃花から離れた。
「本当に何なの……」
二人を見て詩織はため息をつかずにいられず、呆れかえってしまう。
良平の異常行動を見れられたら、他の人だってこうなる。
「それでお兄ちゃんは桃花の血を飲んでるの?」
「飲んでるな」
「アホ? お兄ちゃんはアホなの?」
新学期が始まってから詩織は何度ため息をついたのだろうか?
もう自分自身でも数えられないだろう。
「うぅ~……詩織ちゃん、邪魔しないでよぉ」
「するでしょ。イチャつくなら自分の部屋でやりなよ」
詩織の意見は最もだ。
リビングには二人以外だと詩織しか来ないが、それでも自室でするべきだと誰もが思うだろう。
彼女の血を飲む彼氏なんて異常すぎるのだけど。
「後、二人は明日、病院だからね」
「何で?」
「あのね……血なんて飲んだら感染症になるかもしれないし、口には細菌がいっぱいなの。検査くらいはしなさい」
二人は健康なので大丈夫だと思うが、検査しておくのに越したことはない。
「わかったよ」
「よろしい」
「んじゃあ、それまでまたしようかな」
「やん。いっぱいしてください」
また噛みつき始めた二人を見て、詩織は「もうどうにでもなれ」と呟いて止めるのを止めたのだった。
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