愛
「お兄さーん」
昼休み。学校で唯一会える時間と言ってもいいので、桃花は良平と一緒にご飯を食べる約束をした。
場所は二人きりになりたいということで、屋上手前の階段のとこ。
会った瞬間に良平に抱きつき、桃花は会えなかった寂しさを埋めていく。
「ごめんなさい。お弁当作れなくて……」
「大丈夫だ」
結構ギリギリまで寝ていたために、今日は詩織が作ったお弁当を食べることになった。
前に約束をしたから、明日からは桃花が作ることになるだろう。
「お兄さん優しすぎます。大好き」
「そうか。んじゃ食べようか」
「はい」
二人は階段に座り、詩織が作ったお弁当を食べる。
前と同じように桃花が「あーん」てして良平に食べさせていく。
詩織が作ったお弁当はいつも通りとても美味しい。
「お兄さん、ん……」
桃花は唐揚げを口に咥えて、良平の口元に持っていく。
これは口移しで食べてほしいということを察し、良平は唐揚げを食べる。
いきなり食べてくれると思っていなかったのか、桃花は少し頬が赤い。
良平の性格を考えれば何も気にせず食べるだろうが、やっぱり少し恥ずかしい。
でも、それ以上に嬉しい気持ちがあり、桃花は「えへへ」とニヤけている。
なので今日は口移しで食べさせ合う形になった。
☆ ☆ ☆
お弁当を食べ終わり、二人は時間ギリギリまでここで過ごすことにした。
教室に戻ってもクラスメイトたちから色々と聞かれるるだけだし、それだったら桃花と一緒にいた方がいいという判断だ。
ゆっくりまったりするのは良平も好きなので、これはこれでいい時間。
桃花は良平の肩に自分の頭を乗せ、幸せそうに目を閉じる。
「早く学校が終わってほしい……そしていっぱいイチャイチャしたいです」
「今も充分にしてると思うが」
「昼休みだとずっとできないじゃないですか。家だとずっとくっついていられます」
家にいれば基本的に時間を気にせずイチャイチャすることができる。
依存しすぎている桃花にとって、良平と一緒にいれない学校は退屈なのだ。
「もっとくっついていいですか?」
「ああ」
桃花は向かい合うような形で良平の膝の上に座り、腕と足を背中に回して密着してきた。
学校でこうして抱きつくのはどうかと思うが、触れ合う面積が増えるのが嬉しいのだろう。
「お兄さんは興奮しますか?」
「しない」
「わかってましたが、即答ですね」
付き合っていてもそれだけは不満なようで、桃花は頬を膨らます。
こうやってイチャイチャできるから嬉しいのであるが、やっぱり抱いてほしい。
抱いてくれなくたって別れるつもりは微塵もないけど、好きな人に初めてを捧げたいと思うのは普通のこと。
良平が別れるつもりはないと言っていたので焦ることはないが、できることなら二次元じゃなくて自分の身体で興奮してほしい。
二次元でも興奮しているようなとこは見たことないのだけれど。
「俺を興奮させたかったら、桃花が愛を教えてくれるしか方法がないと思う」
「そうみたいですね」
思春期男子であるのに本当に性に関して興味が薄く、美少女である桃花がくっついても反応がない。
「抱いてくれなかったら、写真を流出させるとか言わないの?」
「そんなことはしませんよ。初めてはお互い同意の元でしたいので」
写真で脅せは良平は桃花を抱くかもしれないが、それは本意ではない。
いくら良平でも桃花の裸を見て身体を触れば下半身が反応を示す可能性はあるけど、脅してしたら身体目的になってしまう。
子供がほしいと思うほど良平に抱かれたいが、やっぱり初めては彼氏からしてもらいたい。
「そうか。もし、俺が桃花のことを好きになったら、その時は告白して抱かせてもらうから」
「はい。いつまでもお待ちしてます」
ずっと……ずっと愛してますという想いを込めて、桃花は良平にキスをした。
良平に依存しているから、桃花から離れるということはないだろう。
だからいくらでも時間がある。
「だから桃花は俺に愛を教えてね」
「はい。絶対に付き合えて良かったって言わせてみせます」
残りの時間はいっぱいキスをして過ごした。
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