第510話【ダンジョンギルド1】

<<ダインジョンギルド本社総務課スエル視点>>

初めまして、ダンジョンギルド総務課のスエルと申します。


わたし、この度創設されたばかりのダンジョンギルド本社総務課に配属されました。


本日は総務課の仕事について、説明させて頂きます。


ダンジョンギルドは文字通りダンジョンの管理をメインに行う、セカンズ星営の機関であります。


全てのダンジョンを統括的に管理運営するのが主な仕事でございます。


さて、ダンジョンといえば冒険者ギルドでは?と思われる方が多いのですが、実際少し前まではこの星もダンジョンの管理を冒険者ギルドが担当しておりました。


ではなぜダンジョンギルドが出来たのか、というお話しから始めないといけませんね。


国際連合に加盟してから、この星の生活も一変しました。


先にお断りしておきますが、一変したというのは異世界の文化を丸パクリしたということではありませんよ。


確かに新しい便利なモノも入って来ましたが、それよりも異世界との交易、それも輸出がこの世界に大きな影響を与えました。


どうやら我が星産の魔物はその品質やコスパにおいて、他の星と比べてもかなり良質だということらしいのです。


カトウ運輸がダンジョンと交易市場までを迅速に繋いで下さいましたので、ダンジョン産の魔物や資源は瞬く間に我が星の主力輸出品となりました。


順調に輸出量を増やしていたのですが、問題が発生してきました。


交易市場に流れる商品の品質にバラツキが出始めたのでございます。


既に星の収入源の主力となりつつある商品の品質にバラツキがあっては、信用問題にもなりかねないと危惧されたキャム公爵様が考えられた措置が、ダンジョンギルドの創設でした。


これまで冒険者ギルドが担当しておりましたダンジョンの管理全般を、国の管理下に置き、冒険者ギルドは冒険者の育成と管理に専念することに決まったのでした。


冒険者ギルドとしても異世界から観光客に紛れてやって来る"闇冒険者"の取締りに手を割かれていましたので、この提案は渡りに船だったようですね。


一部冒険者ギルド内に反対派も居たようなのですが、所詮は利権を貪るハイエナのようなもの。

取締り強化の中で彼等の不正は次々と暴かれ、消えていきました。


話しを我がダンジョンギルドに戻しましょうか。


ダンジョンギルドの仕事は次の5つです。


①ダンジョンの生態を調査して、現状を維持させる。


②生態系を崩す冒険者や魔物等を駆除する。


③品質を守るために品種改良を含めた様々な研究開発を行う。


④冒険者ギルドと調整し、収獲や間引きの計画を立てる。


⑤市場価値と価格を高めるための戦略を立て実行する。


これら5つの業務遂行により、このセカンズに利益を齎すのがダンジョンギルドのミッションなのでございます。


さて、それでわたしの部署である総務課ですが、先の業務遂行をサポートすることがメインのミッションなのです。


例えば各部署からの人材採用の窓口であったり、職員のメンタルケアであったり、場合によっては配置転換の仲介など、各部署を横断してサポートする役割が大きいですね。


この部署は間接部門ということもあり、なかなか花形になることはありませんが、結構重要な部署なのです。






おや、計画課の課長がお越しになったようです。


「スエルさん、声が大きくて、頑強な人材はいないかね?」


「はて、どのような業務になるのでしょう?」


「いやな、狩猟課が成果主義とかっていうのを採用しやがって、乱獲を始めやがったんだ。


計画課の若い奴らじゃ止めきれないんだよね。」


「そういえば狩猟課長からも相談が来ていましたっけね。

確か収穫量が上がって捌ききれないから流通経路を頼むとかって。」


「それだよそれ!あいつら保護対象にしている魔物も狩ってしまうから、こっちは大弱りなんだ。」


「それはお困りですね。

折角保護してるのに、制度のせいで減らされちゃ、困りますよね。


それじゃあ、狩猟課長のところに一緒に行きましょうか。」


狩猟課長と計画課長の3人で膝を突き合わせて協議しました。


どうやら、保護対象がどの生物かを狩猟課は把握出来ていなかったみたいです。


計画課から保護対象生物のリストを週一回出してもらうことになりました。


その際に間引いて欲しい生物の順位付けとおおよその数も出してもらうことになりました。


狩猟課ではそのリストに基づいて成果を数だけの評価から点数制に変えてもらうことにしたのです。


例えば間引きランクの高い生物には2点、保護対象にはマイナス1点というふうに。


これで双方がwinwinになったようです。


まあ、こんな感じで日々忙しくさせて頂いております。

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