第394話【モーリス教授奪還作戦9】
<<マサル視点>>
独房を警備している第7班から賊侵入で交戦中との連絡を受けた俺は独房へと転移する。
「うっ、ここは何処だ?」
交戦中の独房へ向かったはずが、全く知らない世界へと着いてしまった。
『はははは、ようこそ我れが創りし時空空間へようこそ。
マサル、まんまと罠にはまったな。』
何処からともなく声が聞こえてくる。しまった、着地点の周りが時空魔法で囲まれていたのか!
どうやら俺は敵の罠として張られた時空空間へ迷いんでしまったようだ。
『さすがのお前でもこの時空空間から出ることは出来まいて。
死ぬまでこの中で過ごすことだ。
その間にこのわしが世界を征服し、無限エネルギー思想に基づく正しい世界を創るのだ。はははははははは!』
それだけ言うと、その後は静寂に包まれたこの世界に俺だけが取り残された。
「何とか出なければ...」
俺は魔力を薄く広く伸ばしていく。
やがて広がった魔力はほどけるように細い糸に分離し、この世界中に広がっていった。
その糸は高性能な魔力感知機能を備え、この世界の僅かなほころびを見つけてくれるに違いない。
俺は全神経を集中して膨大な魔力の糸を操っていた。
<<イリヤ視点>>
お父様の気配が消えた!
独房で交戦中の第7班の応援に向かったお父様が突然気配を消した。
6班と8班は現在シフト上がりですぐに駆け付けるのは難しいだろう。
スマットとワットルに向かっている班をもどす?
いや、あちらも交戦中だ。うかつにバランスは崩せない。
じゃあわたしが!
いやお父様が気配を消した原因が敵の罠であったとしたらわたしも同じようにとらわれてしまう可能性があるわ。
いったいどうすれば.....
「イリヤさん、ムラマサさんから連絡よ。マイクさんと合流。敵120をせん滅したって。」
「すぐに独房に向かうように言って。だけど転移は駄目よ。急いでって!」
「わかったわ。ムラマサ班、転移できないけど、独房に急いでくれる?
マイクさんは引き続き警戒よろしく。」
ピピピ
「イリヤさん、タケルトさんからも連絡よ。ワットル星での交戦が激化。敵の増援を確認したって。」
「わかった。マイクさんにワットル星に向かうように言って!」
弱ったわね。第7班の応援が足りないわ。
「イスレムさん、第6、8班とは連絡取れた?」
「今手配して取ってるところよ。20人くらいは急行させられるみたいです。
それでもあと30分くらいはかかるから、間に合えばいいけど。」
指令室内の緊張感が最高潮に達していたその時、
「第7班、敵に押されています。至急増援をお願いします。
あっ、バキ!、バキ!、ブーーン!、スパッ!うーーーー....」
何か無線機から激しい戦闘音がって言うか無双しているような音が....
「バキ!、バキ!、ブーーン!、スパッ!うーーーー....
ふうー、どうやら片付いたようね。ハーーイ!イリヤさーーーん。こっちは片付いたわよーー。」
「ってウルティムさん。どうしてそこにいるのよ!」
「だって鑑識課ってこの独房の上の階にあるじゃない。ちょっと様子見で下に降りてみたら戦闘になってたからさあ。ちょっと頑張っちゃったわーー。」
「全くーー。でも本当に助かったわありがとう。」
「いえいえ、最近動く機会が少なくって体型が心配になってたから丁度良かったわ。」
「あ、あのー。あなたは?」
「あっごめんなさいね無視してたわけじゃないのよ。あなた第7班の班長プリムさんね。
わたし指令チームのウルティムよ。よろしくね。」
「指令チームって...俺達が50人で苦戦してた相手をたった4人、いや実質1人でって...」
「あんまり細かいことは気にしないでね。それはそうと、イリヤさん、ここに何かおかしな魔道具があるんだけど。これスイッチ切ってもいい?」
「おかしな魔道具?ってそれ時空空間の魔道具じゃ!駄目よ触ったら。お父様が帰って....!」
「切っちゃった。えっ、マサル様、いつの間にここへ?」
「あーーあ、切っちゃったのね。えっお父様!」
「その声はイリヤ、か?どうやらこの魔道具のスイッチを切ったことで、俺が閉じ込められていた時空空間が解放されて、ここに戻って来たみたいだな。」
「とりあえず良かったわ。もーーー、ウルティムさん気を付けてね!」
「ごめんなさーーい。でも塞翁が馬ね。」
「「ちがーーーーう!!」」
「イリヤさん、ワットル星の方も片付いたみたいよ。ムラマサ班が着いたとたん、敵が撤退したみたいなの。」
「そう。じゃあとりあえず、ワットル星には第1班だけおいて後は撤収ね。状況の確認と今後の対応を考えるため緊急会議を開くわ。
プリムさんも大変だけどこちらにお願い。もうすぐ6班と8班から援軍が来るから上手く調整してきてね。
ウルティムさんとお父様も戻っていらして。」
とりあえず、危機は脱したようね。
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