第393話【モーリス教授奪還作戦8】

<<????視点>>


「モーリスが捕らえられている独房を襲撃する計画は順調に進んでいるのか?」


「はっ、現在特殊任務班から精鋭を10名集めまして、計画の推敲をさせているところです。

あと数日中には実行に移せるかと。」


「潜入させている我が手の者の報告では、あのマサルが警備を強化したと聞いておる。

あやつには何度も煮え湯を飲まされておるが、ぬかりは無かろうのう。」


「はっ、その辺りも加味して計画を見直させております。」


「よかろう。いざとなればモーリスは切り捨てても構わん。その時はあいつの助手であるドイルを実行犯に仕立てておけばよかろうて。


決して下手を打つんじゃないぞ。分かったか!カーチス。」


「ははっ、決して御屋形様に嫌疑が及ばぬよう細心の注意を払って任務を遂行致します。


では、これにて。」


カーチスが音も立てず、煙のように立ち去った。


「相変わらず身軽な奴じゃ。あいつに闇の部分を全て任せられるから、わしはなんの憂いも無く計画を進められるのじゃがな。」


ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ


「なんじゃ、ワレーン、どうした?」


「御屋形様、計画通りマサルの手下共がスマット星に降り立ちました。総勢100名程度です。マサルはいないようです。」


「そうかご苦労。やはりあの微弱な波動を見つけよったか。敵ながらさすがというべきか。


ワレーンよ、その100名は引き付けて地下迷路まで誘い込むのじゃ。手筈通り、適度に痛めつけて仲間を呼ばせるようにな。」


「はっ、我々の任務は追っての攪乱と分断。慎重に行動します。」


「うむ、期待しておるぞ。」


マサル本人を誘導することは出来んかったが、こちらの偽誘導波動にまんまと引っ掛かってくれよったわ。


マサルが新たに加えたメンバーは400人超と報告が来ておる。


これだけの大所帯になれば身軽な動きも難しく、やり方によっては足枷に出来るじゃろう。


まず1手目はわしの勝ちというところかの。ハハハハ。


さて次の手も打っておくか。




<<マサル視点>>


スマット星から微量な空間波動が検知されたらしい。


イリヤの指示で2班100名が向かっているという。あの星は開拓途中に磁場の不具合が見つかり、途中放棄されていた星だ。


再開発の噂もあるが、まだ手付かずの場所も多く、隠れ家として使うにはうってつけだろう。

しかもワースド星からも近い。ここに狙いを付けておいたのが功を奏したのだ。


先程連絡があってマイクさん、ムラマサさん率いる100名の隊員は無事スマット星に降り立ったということだ。


何らかの妨害を受けるかと思ったのだが、何もなかったという。



8班の内4班は敵アジトの捜索に、残りの4班は独房の見張りに付けている。


3交代制で50人づつ監視に当たり、有事の際には遊撃隊の1班50人がすぐに駆け付けられるようなシフトを組んでいる。


そしてマイク、ムラマサの2班を除く、残りの2班は現在別の星を探索中だ。


残りの2班もマイク達の応援に向けるか...


未だスマット星の調査班からは何の連絡もない。


陸地や山岳地帯を中心に捜索しているそうだが、まだ何も見つかっていないのだ。




「お父様!ワットル星を捜索中の1班のタケルトさんから敵発見の連絡があったわ。現在交戦中の模様。」


突然指令チームのイリヤから緊急連絡が入る。


「イリヤ、敵の規模は?」


「約200。すぐに応援が必要よ。第3班レイトさん、それと遊撃班のヤストさん達が動けそうよ。」


「わかった、3班と遊撃班の5班をワットル星へ向かわせよう。」


「了解。レイトさん、ヤストさん、聞こえた?すぐに向かって。タケルトさん、転移ポイントの設置お願い。」


「了解しました。」



これで遊撃班を含む5チームが交戦中もしくは緊張状態にある状況だ。


「イリヤ指令、こちらタケルト。味方到着後、しばらくして敵の攻撃が小康状態になりました。


断続的な砲撃があるため油断なりませんが、現在膠着状態です。」


「指令、司令、こちらムラマサ。マイクの所に向かっている途中で敵と遭遇。

数は凡そ120。マイクがこちらに向かってきている。」


イリヤが無線をこちらにも開放してくれているため、司令室の喧騒がこちらに伝わってくる。




「指令室!こちら独房警備中の第7班。独房に賊が侵入した模様。モーリス教授の手前20メートル付近で交戦中。」


指令室に警報音が響いているのが聞こえてくる。


俺はすぐに独房へと転移した。


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