第389話【モーリス教授奪還作戦4】
<<召喚者ユウタ視点>>
俺の名は小西雄太。召喚された異世界『マーセ』ではユウタと名乗って、冒険者をしている。
この『マーセ』って世界は最近開発された世界らしく、まだ文化も含めていろいろ揃っていない。
俺と一緒に10人くらい一緒に召喚されたんだけど皆んな別々にいろんな仕事をしている。
例えば街を作るための建築をやっている奴だとか、王城に入って法律を作っている奴、料理や服飾などの文化を作っているやつとか。
俺は食材や道具を作るために必要な魔物を集める役割を担っている。
こちらに来て1年余り。冒険者として中心的存在になりつつあり、転移前からラノベで憧れていた冒険者ギルドのギルドマスタになるため、冒険者ギルドの設立に奔走している毎日だ。
3日前、俺を召喚した女神ユリーク様から連絡があり、急遽今日の選抜試験に臨むことになったんだ。
詳細な話しはあまりなくて、ただ「この資料を事前に読んでおくように」と100ページほどの紙の束を渡された。
内容はそれほど難しいものでは無かった。
歴史や文化、住人の考え方などが記載されているが、日本で遊んでいたRPGゲーム『スタリオン・シー・オンライン』の設定に酷似していたからだ。
違うところだけを頭に叩き込んでおけば問題無しってことで、ついさっきユリーク様に連れられてここに来たばかり。
そこには既に何百人もの人が集められていた。
隣りにいた奴に声を掛けてみると、そいつも日本からの召喚者だった。
そいつに聞いたところ、ここにいる人のほとんどが召喚者だという。
こんなにも召喚者っているんだって、呆れてしまう。
中には白人や黒人、アラブ人、あっ!あのターバンを巻いてるのはインド人かな。
圧倒的に日本人が多い中、結構外国人もいるみたいだ。
その他にも明らかに宇宙人だろうって奴も結構いたよ。多分地球以外からの召喚者なんだろうね。
そんなこんなで、しばらくいろんな奴らと話しをしていたら、前方の壇上にひとりの女性が現れた。
明らかに日本人だとわかる女性は、満足げにこちらを見渡して話し始める。
何も持っていないのに拡声器で話しているみたいに、その声は会場の隅々まで聞こえているようだった。
魔力に声を乗せて拡散する魔法だな。そういえば冒険者になってすぐに先輩に教えてもらった気がする。
あんまり使うことなかったけど。
「皆さーーーん、今日は集まってくれてありがとうございまーーーす。
各世界の女神様から話しを聞いて頂いていると思いますが、これから皆さんの適性を調べて、わたし達のお手伝いをしてもらう人を選抜したいと思います。
わたくし、この選抜企画の担当をしております、ユウコと申します。今日はよろしくお願いしまーーーす。」
ああ、あの人この前受けた『召喚者セミナー』の講師をしていたマサル先生の助手をしていた女性じゃないか。
彼もたしか日本人だったよな。こんなイベントの主催をするなんてすっげーな。
その後、ユウコ先生から告げられた内容は、驚愕すべきものであった。
簡単に話すと「神の国で起こっているテロリスト集団の重要人物の警護と、そのテロリスト達を捕まえる手助けをする」ということ。
周りの人達を見るとほとんどの人が事前に説明を受けていたようで、知らなかったのは俺を含めて少数派だった。
ユリーク様、説明端折りやがったな。
でもここに来た以上、否応は無いみたいだし、選抜試験ということはやっぱり受かりたい。
決してもらえる商品の魔道具釣られたわけじゃないよ。
こうして選抜試験は始まった。
まず魔力量チェック。こんなの全く問題ない。召喚者なら貰ってて当たり前の魔力量だし、そもそもクリアできないようであれば女神様に呼ばれないしね。
やっぱり脱落してたのは召喚者じゃない奴らだ。
2つ目は魔法力チェック。
これも冒険者をして絶えず危険と隣り合わせの俺からしたら簡単簡単。
無詠唱だって基本中の基本。だってソロでダンジョンに入る時に詠唱なんてしてたら、その間に魔物に殺されちゃうよ。
どうやら召喚者でひとり脱落者が出たみたい。ああ、まだ新しい世界で土地の開拓だけしてるんだね。
それじゃあ、無詠唱よりも威力を落とさない詠唱付きの魔法しか使わないわ。
しょうがないよね。
最終チェックはあちらの世界の知識について。
この前渡された資料から問題が出るみたい。
『ニューヨークへ行きたいかーー』みたいに出題ごとに全員が〇×の札を挙げて正解者だけが次の問題に進めるってやつ。
結構脱落する奴がいるな。お前ら中二病だけでじゃなくて、もっと学習しなきゃこの先、生き残っていけんぞ。
今は若い格好しているけど俺の中身は55歳の元中間管理職だし。ちょっと説教臭いけどごめん。
とにかく、400人ちょっとが最終的に選抜された。
選抜記念にもらった『自動回復魔道具』を握りしめて、さあ『神の国』へいざ出発だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます