第388話【モーリス教授奪還作戦3】
<<ユウコ視点>>
「さあ、いよいよ始まりました『チキチキ悪の組織をぶっ潰せ召喚者チーム選抜戦』の開始でありまーーす。」
「ユウコさん、ちょっと浮かれすぎ。」
「だってー召喚者同士の実力を競うのって楽しそうじゃない。ワクワクするのよね。」
そう、先日の合同会議で話がまとまった『召喚者で警護チームを作る』って件、今日召喚者を集めての選抜試験を行うこととなったんです。
っていうのも、運営課の皆さんが声を掛けて下さったのもあるんだけど、召喚者講座の講師をしていたマサルさんの人徳で、予想をはるかに上回る500人以上の召喚者が集まったんです。
そして何故か召喚者以外の異世界の方々も多数。
いづれも魔法に覚えのある猛者の方々ばかりです。
あっ、イリヤさんの顔もありますね。ランスさんも来たがってたみたいなんだけど、星王って立場もあって、残念ながら来れなかったみたいです。
今回予定しているのは100名程度なので倍率にして8倍くらいの狭き門。
あんまり多いので室長と相談して50名で8チーム作ることにしました。
2チームづつ交代で勤務してもらうことにします。
なお、今回参加してくれた方全員に危険察知用のお守りを渡すことにしました。
マサルさん謹製のこのお守り、危険を自動で察知して防御結界を張ってくれる優れものです。
これで敵方に誘拐される危険を減らそうという考えですね。
さて、それでは選抜試験の開始でーーす。
まず第一審査は魔力測定。
警備に使用する魔道具を使うためには一定の魔力が必要になります。
それに必要となる魔力量を測ります。
さすがに召喚者の皆さんは全員クリアされていますね。
残念ながら異世界の方々の5割くらいが脱落です。
第2審査は魔法力です。
攻撃力や守備力はもちろんですが、魔法発動までの時間も審査対象になります。
魔法発動までの時間も短ければ短い程、いざって時に役に立ちますからね。
異世界の方々は攻撃力に偏っている人が多いですね。
まあ、先手を打てれば攻撃力だけでも勝ててしまいますし、大体防御が強いだけだったら、この場にはいませんよね。
ここで召喚者初の脱落者が出ました。
ツバロ星のライトさん、残念でした。
魔法力は十分だったんだけど、発動に詠唱が必須なんだそうなんです。
まあ、ツバロ星は出来たばかりで新地開拓がメインですから、威力が落ちてしまう無詠唱の必要が無かったらしいです。
ライトさん、意気消沈されていましたが残念でした。
召喚者以外の方はこの審査で7割以上脱落です。
もちろんイリヤさんは残っていますよ。
っていうか、召喚者と競べても頭ひとつ出ている感じです。
第3審査は筆記試験です。
こちらの世界における、ある程度の基礎知識は必要となるため、皆さんには事前にこちらの世界の情報を渡してあります。
それをどの程度記憶して理解出来ているかを審査します。
資料は100頁もあり、片手間で覚えるには膨大な量です。
その内容は、こちら側(異世界人から見たら神の国)の文化や歴史、考え方等多岐にわたります。
万が一潜入捜査なんかがあった場合にトンチンカンだとすぐにばれちゃいますしね。
おっと!ここでかなりの人数が減りました。
最終的に残ったのは435人ですね。
召喚者350人、異世界人さん85人の内訳です。
やはりこの企画に選ばれた召喚者さん、相対的に脳筋の方が多かったのかも。
思ったよりも脱落者が出てしまいました。
いくら異世界管理局の威信にかけたチームとはいえ、知識と経験の豊富な超優良人材は各異世界に残しておかないと、通常業務に支障が出ますからね。
対して召喚者以外の異世界の方々は優秀な人が多かったようで、8割近くが通過です。
その中でもトップ通過者は…
やはりイリヤさんでした。
さすがマサルさんの娘さんですね。
脱落した方々の記憶からはこちらの世界の記憶を消した後、参加賞のマサルさん謹製お守り魔道具をお渡ししてお帰り頂きました。
さて、435人の合格者にマサルさんからのプレゼントです。
お守り魔道具に加えて、自動回復魔道具です。
この自動回復魔道具、体力だけでなく、魔力や状態異常も勝手に回復してくれる優れもの。
わたしも以前戴いたんですが、あれほど悩んでいた肩こりが無くなってしまいました。
更に合格者全員にはGPS発信機が渡されました。
こうして謎の組織に対処するための召喚者チームが結成されたのです。
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