第3話 異変



 少女の家に、ある日、突然やって来たという、その虫は美しかった。


 五つの玉が、まるで水晶のようにキラキラと光輝いていた。


 赤や青、緑や紫に光っていた。

 見たことの無い虫だった。



「この子、とても可愛いでしょう」

「うん、凄く綺麗だ」



 少年が綺麗だと思った虫は、その時、突然、異変を起こした。


 体を痙攣させて、お尻の方から、尻尾のような物が生えてきたのだ!


「これは何?」

 と、少年は少女に問いかけたとき、彼女はハッとした表情を浮かべて


「あらやだ」

 と言った。


 少し顔を赤らめて、恥ずかしがるようにそう言った。


 その尻尾のような物は、細長くてピンク色だった。そして、ヌルヌルとした透明な液体を纏っていた。



「どうしよう……この子、きっとお隣さんの所へ行っちゃったんだ」


 少女は心配そうにそう言った。


「何か、不味いことが起こったの?」

 少年が不思議に思い、彼女に問いかけると、


「何でもない」

 そう言って顔を背けるのだった。


「……顔、赤いよ」

 と少年が言う。


「だから大丈夫だって!」


 彼女は少し、怒っているようだと少年は思った。


「ねえ」


 彼女は彼に問いかける。



「…………私、ちょっと部屋でやることがあるから、アナタは少し、リビングで勝手にテレビでも見て待ってて」


 と、少女は言う。


 少年は頷く。きっと彼女には大事な用事があるのだと思って、それに従う事にした。



「でも、一つだけ約束して欲しいの。私が部屋にいる間は……絶対に扉を開けないでね」



「えっ」

「お願い」


 仕方なく、少年は、少女の言うことに従う事にした。

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