第6話 家事力とハガキ職人力を磨いて合格
あらゆる分析の末、予備校には行かずに浪人生活を送ることにした私ですが、いざ始まってみると楽しいことこの上ない‼
当時からいい意味でも悪い意味でも生活の中にルーティンを作る方でした。起きる時間、寝る時間、テレビ、ラジオ番組の順番まで毎日同じでした。中でも大事な日課が家事でした。当時の私の起床時間は朝8時30分から9時の間でした。両親共に仕事に出かけてしまうため、起きるころには家に私一人。母はマメな人なので、必ず置手紙で色々な指示を残してから出かけます。しかし、特別なことが無い限り毎日やることは決まっているので、こちらも慣れたもの。掃除、洗濯など日々黙々とこなしていきます。
この頃、こっそりハマっていたのがお昼の海外ドラマでした。放送時間に間に合わせるためいかに効率良く家事をこなすか、ということに一番頭を使っていたと思います。「勉強はどこにいったんだ⁉」とう感じですね。もちろん勉強はしなければならないのですが、驚くことに当時の私は、家事、テレビの予定が優先で、空いた時間に勉強する、というスタンスでした。特に親が留守の昼間はうるさく言う相手がいないので、やりたいことをやりたい放題やっていました。
当時の生活を少しだけ紹介すると、家事をしてテレビを見てはちょろっと勉強。1時間ほどで飽きてしまうので、そうすると今度はネットサーフィン。お昼を済ませるとワイドショーからのドラマの再放送。水曜日はよく映画を観に行ったりもしました。日が暮れる前に洗濯ものを取り込むくらいのタイミングで母親帰宅。その後も勉強しています感を出しながら、こっそり本を読んだりラジオを聴いたり......そして、家族が寝静まった深夜にはラジオを聴きながら勉強の合間にハガキ職人として番組に投稿する日々...
本当にお前いつ勉強しているんだ??
そう思われても仕方ありません。実際、どうやったら自分のメールがラジオ番組内で採用されるかを考える方が真剣だったように思います。
そんな暮らしを続けること約8カ月。とうとう受験の日がやって来ました。滑り止めで受けた海上保安学校は難なく合格できましたが、問題は大学校です。こんなちちゃらんぽらんの生活を送っていましたが、不思議と前年度よりも自身がありました。自分でもよくわからないのですが、良い意味でストレスのない生活を送れたことで精神的に余裕ができたのかもしれません。受験生では考えられないことですが、浪人中、受験本番まで外部の模試を一度も受けなかったのです。センター試験対策の過去問で仕上がり具合はチェックできていたので、模試の結果に下手に振り回されなかった、というのも良い影響を与えてくれたのではないでしょうか。
とにかく、浪人中は束縛されることも追いつめられることもなく、やることだけ、やりたいことだけに取り組め、それはそれは楽しい時間を過ごせたことが良かったようで、
見事!海上保安大学校合格を決めたのです‼
これには両親もビックリ!そりゃあそうですよね。あんな自堕落な生活ぶりを間近で見ていたのですから、「これで合格できるのが不思議でならない」といった心境だったでしょう。ともあれ、合格さえしてしまえば文句の言いようも無いわけで、合格通知を親子そろって楽しみに待ってしました。ところが……
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