第7話 旅立ちの日 ~ いざ広島へ ~
まさかのまさかで合格を果たした私。早速、合格通知が届きました。
海上保安大学校は合格通知が届いただけでは入学することができません。採用内定通知が届かなければ正式な合格にはならないのです。当時の海保大の定員は45名。合格順位が45番以内の人たちは合格通知と内定通知が同時に届きますが、私は惜しくも45番に届きませんでした。しかし、どういう計算をしたらそうなるのか、毎年、入学辞退者が出る度に繰り上げ合格していくと最終的に合格者全員に内定通知が届くことになるのです。それを知っていた私は45番に近い方だし、1カ月ぐらいすれば内定通知が来るだろうと予想していました。
2月、一般大学の入試もひと段落し始める頃、「そろそろ内定が来るんじゃないか?」と思っていた矢先、1本の電話がかかってきました。
「こちら、海上保安大学校総務課の○○と申しますが・・・採用が内定しました。入学の意思はありますか?」
ついに来たー‼‼てか、こんな大事なこと電話でサラッと聞かれるのねー!
などと思いながら
「あります‼‼」
と即答しました。
数日後、入学案内が届きました。手続きに必要な書類と入学、入寮にあたり準備するもののリスト、寮生活の説明、オリエンテーションの説明などが入っていました。意外と揃える物が多く、こりゃ大荷物だな、なんて思いながらついに旅立ちの日を迎えました。
出発当日は両親が東京駅まで見送りに来てくれました。思い返せば、浪人中、毎日両親が仕事に出かけた後に起きていたので、両親と一緒に朝食を取ったのは半年ぶりぐらいでした。その時になってもっと一緒に食事しておけばよかった、と後悔しましたが、時すでに遅し。次に実家に戻れるのはいつになるかわかりません。夏休みまでは帰れないかもしれない。早く実家を出たくてしょうがなかったのに、いざその時になってみると嬉しさは微塵も湧きませんでした。そんなこんなしているうちに新幹線は出発。もう引き返すことはできません。不安と後悔でいっぱいの私を乗せて、一路広島へと走り出したのです。
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