戦車砲のようにひたすら前向きな少女の、恋と冒険の物語。
性格が、という以前にまず体型と威力が砲弾の十七歳。傍目には巨大な肉のボール。インパクトの塊のようなこの設定が、でも、そんな……あんな形で生きてくるなんて……。
読み終える頃には「嘘でしょ」ってなってました。おかしい。なんで普通にいい話になっているんだろう。嘘でしょ。
一見めちゃくちゃなようでいて、でも細かく丁寧に組み上げられた物語。笑いながら読み進めるうち、気づけばすっかり物語に取り込まれている快感。たまりません。
主人公の前向きさが好きです。本当に大好き。ただ陽気なわけではなく、自分が異端であることを充分知った上で、なお自分を好きでいること。きっと人並み以上の迷いや恐れがあって、それでも自分を拒否すまいとする姿勢。
かっこいいです。この珠美さんだからこそなし得た物語なのだと、そう思わせてくれるところが最高でした。