第112話 設定詰め込みすぎじゃね?
「副属性に関しては
「どっちかといえば副属性魔法って属性魔法と合わさった魔法のことをいうんだよな。ほら、お前だって氷と風が混ざった魔法を使えるだろ?」
「え? あ、『
フーリに言われるまで気づかなかったが、確かにあの魔法は「氷」と「風」が合わさっている。
けれどもリオンの奴は「風」と「光」を両方扱えている。本当に魔法に関してはチート級だ。当の本人はその凄さがわかっておらず、目をぱちくりさせているけれども。
「こんな子供でもここまで魔法を扱えるというのなら、これこそがエルフの力なのか。それとも彼の遺伝子の中にとんでもない
ミドリーさんがリオンを見下ろしながら顎ひげに手を当てて考える。
遺伝が魔法に顕著に表れるというのなら、一つ心当たりがあった。
「そういえば、リオンの母親は【
「オリビアだって!?」
彼女の名前にミドリーさんだけでなく、フーリやセバスさんまで度肝を抜いた。
「知ってるのか?」
「知ってるも何も、ギルドで働いていたらその名前を知らない奴なんていないぜ」
目を丸くするフーリの隣で、セバスさんが真顔でクイッと眼鏡を上げる。
「【
「要するに、ギルドのレジェンドだったってことか」
しかし、ライザの話からすると天才的に
つまり、元から
「しかし、オリビアがギルドからいなくなったのは二十五年近く前の話だろう? それが、こんなにも幼い子がいるとは……」
「う~ん」と唸るミドリーさんだが、リオンは相変わらず目をパチクリさせている。オリビアのことを話しても、彼にとっては物心つく前の話だ。おそらくピンと来ていないのだろう。
それにしても、オリビアさんがそこまで有名だったのは。世の中わからないものだ。
「でも、そこまで凄いのなら、この子の
アンジェが腕を組み、人差し指を頬に当てながらふと尋ねる。
「ライザは【
「リオちゃん。自分の
アンジェはリオンに視線を合わせるようにしゃがんで訊いてみるが、リオンは不思議そうな顔で首を傾げる。
このリアクションからすれば、
「というか、ミドリーさんって
思い返せば、前にここで
俺の時は
と、訊いてはみたものの、ミドリーさんの表情は浮かない。
「できるかもしれないが、
「な、なるほど……リオンはせいぜい十歳くらいだもんな」
となると、リオンの
そう思っていた矢先、今まで黙っていたリオンの口が徐に開いた。
「僕、十八歳だよ?」
「はっ!?」
この発言にその場にいた誰もが驚愕する。
それもそのはずだ。こんな幼い姿をしているのに、そんな十八歳とか言われたって信じられない。
見た目は子供。中身は大人ということか? いや、中身が大人にも見えないのだけれども。
みんながみんな信じられないでいる最中、ミドリーさんだけが「そうか」と納得したように頷く。
「エルフは我々の人間の倍以上の寿命がある。もしかすると、体の老化、または成長も人間の半分のスピードなのかもしれない」
「つまるところ、人間でいうと九歳ってことか……ペットかよ」
人間に「人間でいうと」なんて言葉初めて使ったわ。
というか、こいつだけ設定詰めすぎじゃない? ハーフエルフというだけで相当だと思うのに、合法ロリかよ。
「あれ? つうことは、ライザの年齢って?」
「四十四」
「おっさんじゃねえかよ! ずっと
リオンの回答に頭を抱える。あ、でも、人間でいえば二十二歳だからやはり
そんな喚いている中、ミドリーさんが切り替えさせるように「コホン」とわざとらしく咳をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます