第6話 魔法と階級は男のロマン
「ほらよ。どうせこっちの言葉なんてわからないだろうから、お前の母国語でルビを振ってやった。感謝しろよ」
「おお、ありがたい。流石案内人様だ」
「チッ……こういう時だけ……」
ノアは小さく舌打ちをしながら小さくため息をつく。
しかし、そんな彼にも構わず、俺は自分が使える魔法を見ていた。
まず、最初に目に入ったのはこの二つだった。
・
・
なんかいきなり凄そうなのと物騒なのが入っている。
けれども、「大爆発」だなんて最初から範囲攻撃が使えるとはついている。試しがいがあるではないか。
「おっしゃ! やってやるぜ!」
さっそく手を正面に突き出して呪文を唱える。
「
……だが、何も起こらない。
ただ、爆発音の代わりに横でノアが「ブハッ!」と吹き出している。
「何してるんだお前……自分の
必死に笑いながらもノアは前足を振ってステータスボードの画面を変える。
そこで確認できた
「さ……三だって?」
何度見ても結果は同じ。俺の
「どういうことだよ三って! これじゃなんも魔法撃てないじゃねえか!」
ステータスボードを指差してノアに詰め寄るが、ノアはかったるそうに息をつく。
「しゃーねえだろ。お前の
「俺の
それにしても転生して得た
緊張しながら、
そして見つけたその内容に目を疑った。
「……【
なんだこの聞いたことのあるワードは。それに、手前の余計な単語はなんだ。
「これはもしや……強力な魔法が使えるけど、まだ赤ん坊だから魔力が足りなくて全然扱えないってこと?」
助けを求めるようにノアに訊くがノアはそれこそ悪魔のようなにたついた笑みを浮かべて、深く頷いた。
「ちょっと待て! なんだよこの
「知るかよ。お前に適性だった
「なんでこれから魔王倒しに行く奴の適性が魔王側の
「しゃーないだろ結果がそれなんだから。それに、【
「俺の命をぞんざいに扱った奴に言われたかねえよ!!」
余すことなくツッコミを入れるが、ノアは鬱陶しそうに自分の肉球で耳を塞ぐ。
それでも俺は構わずにノアに向かって前のめりになって捲し立てた。
「どうするんだよこれ! 強力な魔法持っていても使えなきゃ意味ねえじゃん!」
「待て待て、よく見ろ。使える魔法もあるだろ」
ノアは前足を上げながらステータスボードを指す。
すると、確かに彼の言う通り上記二つ以外にも使える魔法があった。
・
絶 対 使 い た く な い 。
というか、使えても
渋い顔をしていると、ノアが俺の胸内を察したように口を開いた。
「まあ、発展途上とはいえ、最初から強い魔法持ってるんだ。お前の望み通りじゃねえか。それに、一人くらい悪魔系の勇者がいたっていいだろ?」
「確かに『悪魔の子』と呼ばれてる勇者いたけどよ。むしろ最新作それだけどよ」
ツッコミは入れるが、頭は自然とうなだれた。なんだか俺、ノアに会ってからずっと突っ込んでばかりな気がする。
いい加減、ツッコミを入れるのも疲れてきた。
「もう……わかったからさっさと街にでも行こうぜ」
こうなったらさっさと魔王を倒して生き返ってやる。
そんな意気込みとは反比例するように、俺の口からは深いため息が出た。
街についたら、温かいベッドに横になって休みたい。
そんなことを思いつつ、俺は一歩踏みだした。
その時だ。
「ピギャ!」
「……ぴぎゃ?」
聞いたこともない甲高い鳴き声と足元の柔らかい感触に思わず歩みを止める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます