執政官府の見解


 スジャータ執政官の出迎えを受け、執政官府庁舎へ案内されます。


「ねぇスジャータさん、話の前に、そろそろこの女への警戒は解きなさい、もうパールヴァティは私の奴隷なのよ、ほら、このとおり」


 ヴィーナスさん、パールヴァティさんを膝に乗せ、服の裾から手を入れて……

 思わず嬌声がこぼれたパールヴァティさん。


「ほらね、こんなになったら、私の暗殺など考えられないでしょう?」

「……」


 スジャータさんが、

「パールヴァティさん、ヴィーナス様はそのようにおっしゃいますが、私に警戒感を解かすためには、貴女がそのような行動を起こしていただきたい」


「……」

 スジャータさんの言葉を聞き、肩をすくめたヴィーナスさんでした。


 それでもヴィーナスさんは、パールヴァテさんにこういったのです。


「アプサラス・ハレムはこの地に移転しなさい、あわせてラクシュミー・ハレムも管理しなさい」

「ニライカナイでは息が詰まるでしょう、スジャータ執政官とよく打合せをして、この地のハレムの充実に、力を尽くしてください」


 こんどはスジャータさんが、肩をすくめたのです。

 

 この視察は静養がてら、あまり堅苦しい行事は計画されていません。

 ヴィーナスさん、スジャータさんからいろいろ報告を受けています。


「現在、アールヴヘイムン世界は、いつもの通りです」

「十四王国は、常に小規模の紛争を繰り返しています」

「なんせ武力解決が奨励される世界ですので、なくなりはしないでしょう」


「執政官府の見解では、この程度の局地紛争の繰り返しでは、文明が崩壊するなどはありえない」

「そもそも例の戦闘艇X665の計画どおり、争いを好む人種に仕立て上げられいますので、無くなりはしません」


「まぁそうでしょうね……この世界の文明が、このあたりで止まっているから、維持できているのです」

「これ以上の科学技術の進歩は、破滅を呼び込みますからね」


「男性体といえど、アスラ族が介入した世界、放り出すわけにもいきません、それに女ももらいましたしね」


「意見具申しますが、この際、献上品は返還したらいかがですか?そして執政官府は撤退する」

「所詮は敵である男性体の世界です、守ることなどないと考えます」

「まして暗殺を企てた世界、信賞必罰、ネットワーク全体も納得するはずです」


「離脱を現地政府がいってくればそのとおり、でも私はこのパールヴァティをいただいたの、それにアールヴヘイムンをこのままにしておいて、何か弊害が出るとは考えられません」

「私を舐める馬鹿がでますかね?冷酷な変態女といわれまくっているのが現状でしょう」


「云われればそうですが……」


「まぁ、アールヴヘイムンの各王家には過酷かもしれませんが、強制的に美女を献上させていますからね、指名されれば、文句なしなのでしょう?」


「人質の意味がありますので」


「この世界の住民は、結構ネットワークに対して恨んでいるようです、この前の視察でそれを感じました」

「私としては献上された方たちだけが大事、あとはどうなろうと知ったことではありません、この答えでよいでしょう」


「安堵しました」


「まあ、言外の言は理解しています、その為に視察を要請したのでしょう?」


 そう、分かっていますよ、スジャータさん。

 戦闘艇X665調査報告の核心、つまり女は常に虐げるもの。

 この世界の男は、盲目的にそれを信じる……だから、でしょう?

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