396.父、鼻血が4時間止まらない

 昨日、このエッセイに手術が延期になったという事を書いた後、私はぐったりして元気がありませんでした。


 その様子を見た母が、「夕ご飯は好きなもの食べなさい」と言うので、ド〇ノピザを予約注文しました。これでちょっと元気出ました。


 夕方、ピザを待ちつつチーたんと遊んでいたら、ゴミ出しに行っていた父が帰ってきて一言。


「は……鼻血が……」


 またぁ!?


 先週の土曜日に救急外来に行った時に、止血方法を教わっていたので、その通りにしました。


 ……15分経過。止まらない。


 ……30分経過。止まらない。


 ……45分経過。止まらない。まじで?


 ……一時間経過。止まらない。そろそろヤバくない?


「お父さん、病院行く? 掛かりつけ内科に聞いてみたら?」

「そうだな。お母さん、ちょっと電話してみて」


 と、母が掛かりつけ内科に連絡。すると……


「鼻の中なので診られません」

 

 断られた。


 この時十七時四十五分。駅前に行った事のある耳鼻科があり、そこが十八時半までなので、そこにタクシーで行く事に。


「私が付いてくわ。お母さんはピザ待ってて」


 父を連れてマッハで出発。


 十八時には耳鼻科のある所に着きました。


 タクシーを降りて耳鼻科に行きました……ら……。


「あ、あれ!? 何だこの学習塾!? 耳鼻科が無いぃ!?」


 何と、耳鼻科が廃業してしまっていたのです。バスから見えない区域なので、油断していました。


「ちょっと待って……あ、タクシーまだあそこにいる!! すいませぇぇぇん!!!」


 まだ止まっていたタクシーの運ちゃんに凄い勢いで声を掛けました。


「すいません!! この辺で耳鼻科知りませんか!? っていうか乗せて下さい!!」


 この運ちゃんって人がめっちゃ良い人で、その場でGoogleで耳鼻科を探してくれました。


「数キロ先にありますが……O町ですね」

「遠いなぁ……」

「他には……ちょっと待って下さい……あ、こっちももう閉まっちゃうなぁ」

「どうしようか、お父さん……Tベイ行くしかないか!」

「そ……そうするか……」

「すいません運転手さん! Tベイ病院まで行って下さい!!」


 というわけで、またタクシーで片道四十分掛かるTベイ病院の救急外来へ。


 このタクシーの運ちゃん、本当に良い人でしてね、ウェットティッシュや袋までくれました。しかも迅速で的確。本当にありがとう!!


 Tベイ病院に着くと、また問診票。父は鼻を押さえているのでやっぱり無雲が代筆。昨日は救急外来も混んでいました。


 しばらく待ってからトリアージ。


 トリアージ室で鼻から手を離すと、血がまだダラダラ出てくる。床も服も血で汚れました。


 一旦待合室に出ると、医師からの指示で三十分間鼻を押さえる事になりました。


 じーっと待つ。


 それから診察。


 診察の時に鼻から手を離すと、まだ血がボロボロと出てきます。


「これは……薬を使う前に一度鼻の中をリセットしてみましょう。薬剤を使うと副作用もあるんです。粘膜もさらに傷ついてしまいますので」


 と、父は医師の指導下で鼻を勢いよくかまされました。


 すると、血の塊がボコボコと出て来るではないですか。ぐろっ。


「やはり血腫が大量に出てきましたね。これで鼻の中はきれいになりましたから、また三十分間鼻を押さえていて下さい」


 また、待つ。


 三十分どころではなく待たされて、ずっと鼻を押さえた状態の父。


 この時点で時計は二十時を過ぎていました。


 さらに待つ……ずっと待つ……。


 そして二十時二十分、ようやくまた呼ばれる。


「感覚はどうですか?」

「さっきと違います。止まったかも」


 と、ようやく父の鼻血が止まりました。止血に要した時間、実に四時間。


「血液サラサラの薬を飲んでいて鼻の粘膜が傷つくと、鼻血がクセになってしまうんです。次回A病院に掛かられましたら、鼻血の事は必ず言って下さい。腎臓が弱っていても薬が効きすぎる事があるので、その辺りもよく診てくれるでしょう」


 はぁ。やっと帰れる……。


 何だか妙に会計に時間が掛かりましたが、二十時五十分、ようやくタクシーを呼べました。


 帰りのタクシーに乗った時、運ちゃんは病人は私だと思ったに違いない。


 無雲はTベイ病院に居る途中から、体力に限界が来ていて、目がシパシパしてめまいが酷かった。メンタルもやられていて、笑いたくなったり泣きたくなったりしていました。


 なので、タクシーに乗り込んだ時には息も荒くぜーぜーしている状態で、上を向いて白目を剥いているかのような状態だったのです。


 なので、帰りのタクシーの運ちゃんにも「お大事に」と深々言われました。


 二十一時半、ようやく帰宅。もう泣きそう。


「あああああ、私の燃料!!!」


 と、帰宅早々無雲はビールを一気飲み。


「くっはぁ!!! ビールが身に染みるぜ!!!」


 染み渡りました。疲れた体にビールが染み渡りました。


 そこから両親がまずピザを食べて、無雲もちらほらつまみ食いしてお風呂に入ってやっとおいたんと夕ご飯でした。


 すでに時間は二十二時半。深夜に冷めたピザを貪り食って酒を飲む夫婦。


 せっかくのピザは堅くなっていましたが、それでも美味しかったです。飲酒ははかどりませんでした。疲れすぎて酒が喉を通らない。ピザは飲み物みたく食べ尽くしましたが。


 寝たのは日付変更線近かったです。今日、おいたんが仕事休みの日で良かった。


 今朝はゆっくり寝ていましたが、疲れはかなり残っていて、午前中は何も出来ませんでした。お昼ご飯にカレーを食べてようやく少し回復してきた感。


 あああ、疲れたよ。この一週間が凄く長く感じる。病院にばっか居る。


 放射線科に行ったのが遥か昔に思えるけど、まだたったの四日前なんだよな。救急外来は体力もメンタルも消費するわぁ。


 父の鼻血、土日や夜間に出ているので、救急外来しか行くところないんですよ。そうだ、この後この辺に隠れた耳鼻科がないか調べないとな。


 このダメージ、しばらく引きずりそうだぜぃ。

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