245.おいたん、隔離中!!!

「喉が痛い」


 おいたんが昨夜帰宅した時の第一声であります。


「いつから?」

「朝から」

「朝!!?? どのくらい痛い?」

「唾を飲み込むと痛い」


 おいたん、朝から喉が痛いなら仕事行っちゃダメだろ、と思いつつ、おいたんは通常通り帰宅してすぐお風呂に入りました。無雲はその間、思案を巡らせて、自治体の健康相談ダイヤルに電話しました。その時のおいたんの熱は三十六度三分。


 すると、市の夜間診療所を紹介されたので、お風呂から出てのんびりしようとしてるおいたんをそちらへ連行しました。とりあえずタクシーしか交通手段がなかったのでタクシーで。


 夜間診療所のスタッフは防護服を着て厳重な感染対策をしていました。診療所で熱を測ると三十七度二分でした。お風呂上りも影響しているのかな、とは思いました。しかし、喉の痛みがあるし、一応発熱しているしで、ここでPCRかな? と思っていたら、何とまぁ、やってくれない。


「週明けに近くの病院かどこかでPCR受けて下さい。それまで仕事には行かないで下さい。熱冷ましと喉の痛みに対する薬は二日分出します」


 えぇっ。PCRしてくれないの? ならここに来た意味とは?


 かなりの不満を抱えて帰宅しました。やっぱタクシーで。


 無雲が今までに調べたデータによると、かかりつけの内科は入口に『コロナ診ません』の張り紙がしてある。以前のかかりつけだった内科が発熱外来とPCRをやっているから、週明けにそちらに問い合わせしてみるしかない。


 そして、帰宅した瞬間からおいたんは隔離しました。


 無雲とおいたんは、実家の六畳半の和室と、四畳半の和室をもらっています。六畳半にはテレビ・こたつ・私の作業環境があり、四畳半は寝室として使っていて、おいたんのパソコンがあります。なので、おいたんは四畳半に隔離しました。私はテレビの部屋でやや狭苦しさを感じながら寝る事になりました。


 普段のかかりつけの内科は、日曜日も診療している利便性。一応、電話してみようかな? と今悩んでいますが、入り口に『コロナ診ません』って貼っている以上、電話するだけ無駄な気もする。ダメ元で電話するか凄く悩んでます。


 母は、今日出勤の予定だったのですが、出勤してもいいのか分からなかったので朝に部門主任さんに電話して指示を仰いでいました。結果、まだ陽性と決まったわけではないので出勤してくれと言われて出勤して行きました。


 おいたんは、昨日もおっとりと「一服してからタクシー乗る」だの、「職場のPCRで済ませちゃダメかな?」などと言っており、そのおっとりさ(鈍さ)に母がこっそりキレました。キレた要因には、『朝から喉が痛かった』のに出勤してしまったというのもありました。朝に言ってくれれば、PCRをやっているクリニックに行けたからです。


「無雲、あんたいい加減離婚しない? あんたの旦那は問題が多すぎる!! お母さんは心安らかに過ごしたい!! 七十過ぎた親を心配ばかりさせないでくれ!!」


 真顔で迫られました。怖い、母ちゃん……。


 でも、無雲は離婚する気は今の所無いよ。ごめん、母ちゃん……。


 でも、「朝言えよ」とは凄く思った。その点でもの凄く腹が立って、無雲は全然眠れなかった。一応四時間くらいは寝たはずだけど、凄い寝不足。でも、今日はしれっと今の内に買えるものを買いに行かなきゃいけないし、無雲がシャキーンとしてなきゃならない状態なので、眠くはないです。


 ちなみに、無雲と両親は何の症状も出てないです。おいたんは今朝も「喉が痛い」と言っております。熱は無いみたいです。


 明日は無雲の三カ月に一度の婦人科の受診日でしたが、明日は延期するしかなさそうです。処方されている漢方は市販もされてるから、とりあえずしばらく分を今日買ってきます。予約がなかなか取れない婦人科だから、早くて一カ月後になっちゃうんだろうな……。


 それよりも、おいたんがもしも陽性だったら、無雲はゼプリオンに行けなくなります。それが怖い。母が、「飲み薬はM先生のクリニックから実費でも良いから送ってくれないか頼んでみろ」と言われました。もうこうなったらお金は減るものと思って体調の維持を優先するしかないです。


 ゼプリオン打てないのも凄く困るんだけど、カルフォルニア・ロケットをバツっと飲まなくしたら無雲の体調は確実におかしくなる。それは避けたい。


 あぁ、ゼプリオン前倒ししたくないとか言ってないで昨日診察行けばよかった。だから、朝言ってくれれば良かったのに。


 とりあえず、市と県のホームページで色々と情報を集めようと思います。どこに行けばいいのか、どこに問い合わせたらいいのか。まずは確実な情報を集める事だ。


 はぁ……まじ勘弁してくれよ。


 

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