第4話

 私たちより何十世代も前。水に富んだこの星にはいくつもの大陸があった。

 けれど、数百年の年月をかけて水位が上昇していき、大陸はどんどん海に沈んで最終的には生き物が住める大陸は三つだけとなってしまったのだ。

 

 それにより、これまで区別されていた国、人種、言語などの全てを統一して三つの大陸は一つの世界となった。その世界を統治するのが中枢政府だ。


 年々、水位が上がっていることは報道されていたけど、ここがついに沈んでしまうのか。


 生まれ育った場所が無くなるという喪失感が胸を抉る。

 本当に無くなってしまったとき、この喪失感がどれだけ私の心に穴を空けるのか、想像出来なかった。


「けど、こういうときのために準備はしておいた。二人まではなんとか。本当なら君の分も用意したかったんだけど」


「あなたを一人置いていくなんて嫌よ。大丈夫よきっと」

 

 二人の会話は続いていたが、私はそこで部屋に戻った。

 扉を閉めて背中を預ける。鼓動が早くてなかなか落ち着けなかった。聞かなければよかったと後悔してから、聞けて良かったと思い直した。

 心の準備なしにあんな話をされるのは堪える。


「……お姉ちゃん?」


 暗い部屋のベッドからケイトの声がした。

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