第5話 他愛ない駆逐
大人数からの「えー」の声はいくら人生山あり谷ありのおっさんでもかなり傷ついた。だって、「オモテタントチガウ」ってことでしょ?おっさん、拗ねてエンペラー討伐しなくなるよ?
そんなことを考えていたらあからさまに凹んだのがわかったのか、ギルマスが励ましてくる。
「まぁ、なんだ。本人登場で士気が上がると思って頼んだんだが…悪かったな」
「はぁ、だから俺はこうやって大々的に登場したくなかったんだよ」
「でもこうやって紹介しておかないと戦闘中の冒険者に『逃げろ!!』とかって言われそうだろ?それに、中にはどことなく納得している奴もいるみたいだしな」
そう言われて冒険者たちの様子を見ると確かに納得した顔で頷いている奴等がちらほらいる。
「とにかく!もう敵は目前まで迫っている!!こいつに先陣を切らせるからそのあとに続いて敵を狩っていけ!!」
「えぇー、俺が先陣切るの~」
マイペースに適当に狩って帰ろうかなぁっていうふわっとした計画が瞬間的に瓦解した。
「ほら、行ってこい!」
そう言って背中を大振りで叩かれた。
「……痛い」
そう呟きつつも足を進める。後ろからはちゃんとついてきているようだ。
「これを使うのも久しぶりだ」
そう言って今回のために引っ張り出してきた二本の手持ち鉈を腰元から取り出した。だかただの鉈ではない。その正体は銃である。鉈として使えるが、銃としての機能を持つといった方が正確だ。
「さぁ、全部まとめてバラしてやる」
刃の付け根にあるトリガーを引く。
それによって放たれた銃弾がゴブリンに着弾すると一瞬でバラバラになる。
その様子を見た後ろの冒険者たちは驚愕の声をあげている。おいおい、戦闘中に気を抜いちゃダメだろ。
ときどき俺に近づいてくるゴブリンは鉈の刃で斬る。すると、その斬った断面から分解されていった。
これらの能力は俺が持つ解体のスキルに起因する。ちなみに最初に放った銃弾が解体弾生成、その次のは分断……と俺が名付けた。
ちなみにスキルとは、先天性の特殊能力である。これをどれだけ使いこなせるのかで冒険者としての質に大きく影響する。
こんな感じでゴブリンどもを蹴散らしつつ、ゴブリンエンペラーのもとへ一直線に向かう。その過程で撃ち漏らした奴等は後ろの冒険者たちが相手してくれている。
そんな感じで進んでいくとついに、ゴブリンエンペラーの前にまで来た。
「さぁ、殺り合おうか。お山の大将」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます