第2話 他愛ない喧嘩
「もう許さねぇ!どんなに謝っても許さねぇ!!今ここで伸してやる!!」
「こっちの台詞だ!二度と逆らえねぇようにしてやる!!」
冒険者ギルドのロビーを覗くとこんな感じでだいぶ険悪化していた。
なるほどこりゃ職員でも止められねぇな。なんせ二人とも武器を構えている。片方は背が高く、ガタイが良い。その手には片手斧が握られている。もう一方は熱血青年の風貌で、その手には両手剣を握っている。下手に割り込むと怪我しかねない。
「おいおい、そこの若人たち。あんまみっともない真似するなよ」
そう言って割り込む。
「あ!?なんだよおっさん!!」
「邪魔すんなよ!今からこいつを潰すんだからよ!!」
久しぶりの反応だ。最近は俺のことが知られたせいか冒険者に恐れられることが多いからこの一言で収まるんだよなぁ。
「喧嘩するなら外で、素手でやれよ~」
そう言って両者が持つ剣と斧を刃と持ち手に分解する。指パッチン1つ鳴らすだけではい終わり。
やっぱりこれをやったあとの驚愕の顔はいつ見ても楽しいな。
「こんな感じでいいかい?」
さっき助けを求めてきた男性職員にそう声をかけるとさっさと自宅へと向かう。後ろでは頭を下げているようであった。
家でゆっくり晩酌した次の日、今日も今日とて仕事である。
誤解を生まぬために言及しておくと、俺の仕事は喧嘩を止める仕事ではない。
俺、エドモンド・クロスの仕事は魔物の解体である。
次から次へとやってくる魔物を解体していく。喧嘩してた奴等の武器を解体したのと同じ方法で。
「ふぅー、全くなんでこんなに仕事がやって来るのかね。俺以外にも解体する人を雇わないのかね」
誰もいない解体部屋で一人呟いた言葉が虚しく響く。
「お前さんほどの解体職人雇ってたら他なんて要らねぇだろ。それにその分、お前の給料は上げてるんだからよ」
そんなことを言いながら部屋へと入ってくるのはここの冒険者ギルドのギルドマスター、ファング。
「俺が欲しいのは金より休みなんだよ。だから適当に人雇ってくれない?」
「そんなことしたら全く仕事しなくなるだろーよ、お前は」
図星なので反論できない。この男は無骨そうな筋骨隆々の見た目をしているくせに核心をついてくる。むしろ野性的だからこそ本能的に何か分かるのか?
「…今失礼なこと考えてなかったか?」
最低でも野性的な勘が鋭いのは間違いなさそうだ。
「またふざけたこと考えていたようだが、深くは聞かないでおいてやる。」
「……あざーす」
そんな感じで雑談をしつつ同時に解体もこなす。
一段落したところでギルマスが真剣そうな顔で話し始める。
「さぁ、お前さんに『
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