解体職人のおっさん、実は最強の解体屋
荒場荒荒(あらばこうこう)
第一章 おっさんは駆り出されます
第1話 他愛ない日常
「今日も疲れたなぁー」
思わずそう呟く。
俺の勤務しているのは、アルバニア王国の辺境の町ヴァライズにある冒険者ギルド。ここでは冒険者と呼ばれるものたちに仕事を斡旋したり、狩ってきた魔物たちを解体したりといったサポートをする。ちなみに魔物とは、知性を持たない害獣のことである。
「ここは喫煙できませーーーん!!」
たばこを吸いながら黄昏ていると背後からそんな声とともにドロップキックを決められた。
「もぅー、何するんだよレナちゃん」
「何するんだよじゃありません!ここはたばこ吸っちゃいけないって何度言ったら分かるんですか?エドモンドさん!」
いつも通り怒るこの娘は普段冒険者ギルドで窓口対応する受付嬢である。
最初は言葉で注意するに留めていたが、最近は実力行使に出るようになってきた。
「誰のせいだと思ってるんですか!?」
おっと、無意識に心の声が漏れだしていたようだ。やっぱりおっさんになるとどうしても気が抜けちゃうなぁ。
そんな風に加齢を噛み締めていると、その隙を突きながらたばこを奪おうとしてくるので、その場でくるっと回って躱す。
「んもぅ、いっつも隙だらけな感じなのになんで躱せるんですか!?」
「おっさんだからだよ」
「理由になってません!!」
そんな問答をしているとギルドの男性職員が駆け込んできた。
「すみません、冒険者どうしが喧嘩し始めちゃって、僕らじゃ止められそうにないので止めてもらいたいんですが……」
これから家でたばこと酒を手にゆっくりするつもりだったんだがな。
普段から荒事に慣れている冒険者ギルド職員が止められないとなると相当なんだろう。
「仕方ない、今行くよ」
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