「六軸アームは『あの人』になりたい」について
5月末に「化け猫ほうむる」を書き上げてしばらく経った6月10日。ロボットの日なのだってツイッターで見かけました。
ちょうど「5分で読書」コンテストの募集期間。お題は「5分で解決探偵、あらわる」および「誰にも言えない恋」。
よし、ロボットアームに恋をしてもらおうと相成りまして、レギュレーションを確認。3000-6000字だそうなので、ぺーっと思い付いた事をパソコンに打ち込んでいきます。
以下、メモ書きのコピー。
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半導体のパッケージングをするロボット?
オペレータではなく、半導体ウエハーの目視確認をする検査技師に恋をした。
その人間の動きには、YuMiにはないリズムがあった。一定の流れのなかに揺らぎがあり、ごくまれにノイズと言ってもよさそうなずれさえあるのに、ウエハーを受け取ってからアームへ戻すまでの時間はほぼ一定だった。それがユミには気持ちがいい。
検査技師なので、毎日来るわけではなく、定期検診にしかこない。そのうち、技師が来るのを楽しみに思うようになる。その気持ちを表現することができないので、生産のない休日、誰もいないときに勝手に動作し、リズムをなぞり、技師への気持ちを募らせる。
そのうち、技師が検査に来る頻度が増えて、アームは幸せな気持ちをおぼえる。しかし、検査回数が増えるという事はつまり、動作不良が疑われているということでもある。
非監視状態で勝手に稼働している分、寿命が他のアームよりも短くなってしまっており、稼働エラーの頻度も増え、故障交換対応が決定する。交換はラインが停止するメンテナンス期間(クリスマス休暇)。カバーをかけられたアームに近づくロボット掃除機。光学信号によって受け渡されるコード。コードはアームのログファイルに仕込まれ、マザーコントローラに保存される。
→交換後のアームにログが注入される?
→それとも、アームではないデバイスに入って、技師の側にいるようになる? ログファイルはトップセキュリティのファイルだとは思うけれども。
→ログファイルとしてマザーコントローラに抽出され、トラフィックとしてリモートサーバに保存されるトラフィックを、聞き手である「インターネットの妖精」が発見。ログファイルに「言語」としての機能を与えて、今回の語りとなった。
技師はいつの間にか来なくなる→事故で入院。義手装着。
ログファイルはインターネットの妖精の力を借り、義手のファームウェアアップデートにまぎれて、技師の義手を動かす制御システムへと侵入して、余生を過ごす。
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これを見ながら、
メモにある"YuMi"は、ネットで見つけた実在のロボットアームです。語り部の六軸アームはこちらを参考にいたしました。
アームは無性別としました。語り部が性別を認識しないので、人間側の性別も書きません。男女不問。
メモにある「インターネットの妖精」というのは、別作「インターネットの妖精さんへ丸山からのお願い」https://kakuyomu.jp/works/16816700425996904461 からのゲストです。両作をつなげる目論見がありました。
そうやってアーム交換のあたりまで書き上げ、シャワーを浴びていたのですが、妖精のキャラが強すぎて邪魔に思えたので、オミットしました。君が出ると説明がふえるし、なんか
そういうわけで、「これが恋なの?」と六軸アームが問いかけても、答える風はもう吹きません。
だいたい「誰にも言えない恋」がテーマであるのに、妖精にペラペラと話してしまうのも、ちょっと、ねえ。妖精の力がなくても、運命はファームウェア・アップデートへ導かれるはず。カモン掃除機。
赤と緑のLEDで、二色が重なると黄色になります。この重なりの長さによって変化を出していると設定し、一度に送信できるビット数を増やしました。増えるはずです、きっと(祈り)。
アームにTCP/IPの機能はありませんが、マザーコントローラなら社内ネットワークへ繋がっています。魔法のコードでトランスファー。
六軸アームは電子ファイルを転々とし、ついに義手へと辿り着くのでした。
めでたし、めでたし。
裏話。
「インターネットの妖精」や「高校生ちゃん空を飛ぶ」と同じ世界でのお話としています。
六軸アーム参考
https://premium.ipros.jp/abb/product/detail/2000462540/
掃除機参考
https://www.softbank.jp/biz/robot/whiz_i/
では、また、次回作で!
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