92話から166話まで

 「よっつめ」についてです。


もりもり74話、19万2千文字。

自分でも書いてて思ったんですよね。あれ? なかなかゴールラインみえないなって。


 先の「61話から91話までの話」でも触れましたが、この章を第二部のメインとして考えてました。

 いちおう、各章でどの謎を明かすか、何を出すか、みたいなのは意識するようにしていまして、それを踏まえての章題「猫の魔法使いと魔法使いの猫」です。


 これ、ちゃんと伝わったのかなぁ。


 「みっつめ」の冒頭と同じく、街へ向かう道のりもちゃんと書きました。湖が多く、湿った土地のイメージです。なんとなく尾瀬になった。wahoo。



★舞台

 北半島第二の都市、ウ・ルー。

 南半島、西高地、北半島に囲まれた「湾」に面する港町です。特産品は魚油、薫製。おもな輸出は紙。主な輸入は南からの鉱物資源。

 結局本編で触れることができなかったのですが、南北の半島で、紙と黒鉛の交易の歴史がある、なんて設定をしてました。通りの名前に「素描小路」を出したのはその設定の影響です。

 

 この章で、初めて通りに具体的な名前を付けるのやりました。結構楽しい。


殿でんおお

 南半島から嫁いできた妃殿下がお披露目を行った大通り、としました。完全なる思い付きで街に歴史が生まれます。


・素描小路

 港に繋がる通りの名前。由来は先ほど述べたとおり。


七月彗星アフルンコメタ小路

 魔法協会がある通りの名前。

 魔法っぽいものを入れたいな、という願望と、今後に出すものをチラ見せしておくという手法のミックスアップでこの名前になりました。


九月七日セチセテンボロ通り

 九月七日になにがあったんでしょうね。


 前章で出て来た幼なじみの真ん中が、髪切りとして働く街でもあります。本編とは別にその様子を書いてみたら、意外とうまくいったので別に公開してあります(https://kakuyomu.jp/works/1177354054889344118)。



 長期滞在なので、主役の二人は集合住宅(宿舎)に寝泊まりすることに。

 この宿舎、職場である魔法協会、妃殿下大路、ガザミいち、三日月サルーン、そして船。これらが主な舞台です。






★主な登場人物と名付け


☆シェマ・クァタ

 彼女もごく早い段階で思いついていたキャラクターです。ヒトの男性が主役にいるので、やっぱりヒトのヒロインも出したいなって。

 「蜂蜜色の瞳」「麦藁色の髪」「紫のストール」と、比較的カラフルな人です。名前を思いつくまでは「猫のお姉さん」と呼んでいました。

 主役の先輩で、学院でも優秀な成績を収めた才女、というのが当初のイメージです。


 ところが「お姉さん」に引っ張られて、なんだか気取ったイメージばかり浮かんでとっつきにくい。でも名前がついたら、一気に輪郭が出てきました。

 由来は猫。とある中東の言葉でグーグル翻訳に読み上げてもらって、ちょろっといじって、シェマ。

 いつしか話の流れで、「細くてうねうねするものが嫌い」となり、格段に動かしやすくなりました。


 話を作っているうちに、後から何か属性がくっついてくる、というのは割とある話だと思うんですが、彼女には「怒り」がついてきました。

 ヒステリーを起こすような人ではありませんが、「怒り」はいつの間にか彼女を表す重要なファクターになりました。


 負けないために、怒りを身にまとう。


 こうして「優秀」という属性を持つはずだった彼女のキャラクターが徐々に変わっていくことになります。

 

 このあたりは、本編中でも主役の独白ではっきり言及させました。言及すると確定してしまうので、そう言うときはいつも緊張どっきどきですよ。

 長編だと、一度確定した情報が今後に影響する度合いが大きいので、収拾つける腕の見せどころです。ほら、出せ、腕。ちょっとジャンプしてみろ。


 主役の扱う魔法が、作中世界で珍種とされているため、「普通の」魔法がどんなものかを詳しく見せる、主役に引導を渡すなど難しい役割を、鼻血が出るほどがんばってもらいました。


 

☆ケト

 使い魔の王族ネコガトヒアウ

 ガト = ネコ

 レアル→ヘアウ→ヒアウ = 王族

 いわゆる「猫の王様」をモデルにしたのですが、使い魔にするためにちょっと弱体化。でないとシェマが世界中の猫に対して傀儡かいらい政権を握っちゃう。


 名前の由来はそのまんま「ケト・シー」のケトです。Caitです。猫です。飼い猫の名前を"Cat"にするぐらいの暴挙です。


「"ガトヒアウ"は地方によっては"ケトリール"と呼ばれる」って設定メモにありました。

 主役の二人が「熟練者と素人」のコンビであるのに対して、「熟練者どうし」のコンビを組んでいます。書いていて楽しいコンビなので、本編と関係ないところでのびのびとスピンオフ書きたい。

 


☆ハマハッキ・オラヴィ

 よっつめにおける、第三の男。彼についてはそこまで考えてなかった。ふらふらと旅をする、態度と行動の軽い26歳でした。女好きで学院を出ていない魔法使い代表、なんですけど、そのあたり書ききれなかった感はあります。彼がシェマに手をだす未来も考えてましたが、疲れる展開になりそうでやめました。

 

 名前の由来は「蜘蛛」の翻訳。


☆ハニ

 六眼八脚、銀毛の蜘蛛一昔前のギャルみたいなしゃべり。キレると言葉が乱暴になる。と、けっこう記号的な要素を入れたキャラ。名前はスイートハニーでハニ。

 書いてみたら意外と動いた。


☆ロッキ・アーペリ

 魔法協会の、現場の管理者役。既婚者。名づけは各国名前リストからもらいました。外部との交渉事が多く、地味ではあるので活躍の様子は直接的にはあまり書いていません。


☆クービアック

 ロッキの使い魔。かもめ。昔読んだ海外のファンタジーにでてくるカモメからそのまんま名前をもらいました。ちょいさぁ。




★ストーリーの着想

 「街を襲う災害と奮闘する魔法使い」を中心に、ちょっとした色恋を添えて。

 魔法が手放しで「良いもの」とはされていない事実や、それぞれの願い、嫉妬、手探りでたぐる関係性、そのあたりを書いた回です。


 ストーリーラインはできていたのですが、そこに人をあてはめたり、具体的なエピソードを書きだすのが難しい章でした。まだ記憶に新しい災害をモチーフにしたからだ、というのもあったかと。


 行きと帰りでわずかに変わった主役の関係性を描きつつ、ラストは来た道をたどって故郷に帰ります。

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