239 フクロウの巣の相談
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この話の更新日、1/14に六巻が発売となりました。よろしくお願いいたします。
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俺は上空にいるフクロウたちを見た。
かなり距離がある。呼ぶのは大変そうだ。
「ジゼラ、ストラスを呼んでくれないか?」
「わかった! ストラーーース!」
ジゼラが大声でストラスを呼ぶ。
ジゼラの声はよく通るのだ。
「ぴいー。ホッホウ」
上空を飛んでいたストラスはすぐにやってきた。
ストラスの後ろにはフクロウたちが付いてきている。
「ほう?」「ほほう?」「ほっほう?」
フクロウたちは
「どうしたどうした?」「あ、ジゼラだ! あそぼう」「いじぇいないの?」
など、色んなことを話している。
やはり、フクロウたちはイジェが好きらしい。
「イジェは拠点の方でお仕事だよ」
「ほぉー」「ふぉぅ」
後で、イジェのところに遊びに行こうとフクロウたちは相談を始めた。
「みんな可愛いねー」
ジゼラは、そんなフクロウたちをなで始めた。柔らかい羽毛が気持ちよさそうだ。
ストラスはそれを見ながら、尋ねてくる。
「ほっほう?」
「いま、ヤギの小屋について話していたんだが、フクロウたちの家を建てようと思ってな」
「ほーぅ」
「どういうのがいい?」
「ほう?」
ちなみに、ヤギの小屋はどんな感じなのだと聞いてくる。
「そうだな。えっと、基本の構造はボアボアの家と同じで、屋根の形を変えるんだ」
「めえ!」
メエメエが、一緒に住むかとストラスを誘う。
「ほう?」
「メエエ」
ストラスが「良いのか?」と尋ね、メエメエが「もちろん」と答えた。
「ほほう!」
「じゃあ、フクロウたちもヤギの小屋に住むってことでいいんだな」
「ほっほう」「ほうほう」
フクロウたちも同居に賛成らしい。
沢山いた方が暖かいと言っている。
どうやら、建てる小屋は一軒でよくなりそうだ。
一軒でいいならば、手間も材料の節約できる。
だが、フクロウたちがヤギたちと同居するとなれば、当然、小屋の構造も変わる。
「フクロウたちは、小屋に欲しい機能とかあるか?」
「ほう!」
ストラスがみんなに何かないかと尋ねた。
「ほっほうほう」「ぴい~~」「ほほほう」
フクロウたちはバラバラに話し始める。
「なるほど、止まり木が欲しいと。それに飛んできて、地面に降りずに入れるようにしてほしいと」
「ほっほう!」「ほう?」
「もちろん、難しくないぞ。止まり木は木の棒を渡せばいいだけだしな」
「ほほう?」
「それは、出入り口を屋根の近くに作ればいいかな」
「ほう!」「ほっほう!」
「ああ、それも難しくはない。隙間風を防ぐ為に扉をつけることになるが……クチバシで開けられるだろう?」
「ほう!」
「その入り口の外に、なんというか……フクロウ用のベランダみたいなのをつければいい」
そうすれば、飛んできてそこに止まって扉を開けて中に入れる。
「ほう!」
フクロウたちはそれでいいと喜んでくれた。
「なんかこう巣穴みたいなのを作らなくていいのか?」
「ほう! ほほう」「ほう」
「ふむ」
フクロウたちの意見が割れた。
別にいいというフクロウと、巣穴は落ち着くので欲しいというフクロウがいた。
「そうだな」
「ほほう!」
少し考えていると、ストラスが教えてくれる。
どうやら、フクロウたちは、子育て中以外、巣穴を必要としない種族らしい。
だが、必要ないが、落ち着くというのはあるらしい。
「猫が箱に入りたがるみたいなもんかな?」
「ほう?」
「まあ、落ち着くなら作るよ。どのくらいの大きさがいい?」
「ほーう」
フクロウたちはあまり大きすぎない方がいいという。
二羽が入って、少しきついぐらいが丁度いい。
「なるほど。ツガイで子育てするからかな?」
「ほっほう」
「ところで、この中で子育てする予定があるものはいるか? いるなら、出産のための設備も要望に応じて整えるが……」
動物も魔獣も、小さくて弱い種族ほど子育てから子育ての期間が短いのだ。
ネズミなどは一年に何回も子供を産むが、大きな動物は五年に一回しか産まなかったりする。
魔獣は動物より寿命が長く強いので、繁殖から繁殖の間隔も基本的に動物よりも間隔が長い。
「ほう!」
フクロウたちの中には、出産予定のツガイはいないらしい。
「そうか、必要になったらいつでも遠慮せずに言ってくれ。ヤギたちとカヤネズミたちはどうだ?」
「ちゆー」
少し離れた場所から、ケリーとフィオとお話ししていたカヤネズミが返事をしてくれる。
「にひき! はるうまれる!」
「おお、それはめでたい」
「お、妊娠している子はだれだ?」
ケリーが目を輝かせている。
「ちゅ」
「このこ!」
「診せてくれ。ほうほう。妊娠期間が長いのだな。普通の、つまり旧大陸のカヤネズミならば、妊娠期間は二十日ほどだが……」
「ちゅう~」
「おなかのなかに、いちねんぐらいいる!」
「そんなに長いのか。カヤネズミは魔獣と動物の差が特に大きい種族なのだな」
「そなの?」
「ああ、一年ならば、十八倍。普通は五倍ぐらいが多いかな」
「おおかみも?」
「ああ、動物の狼はは七十日前後だが、魔狼は一年、三百五十から三百七十前後かな。大体五倍だ」
「へー」
「ちゅー」
ケリーの話をフィオとカヤネズミたちが興味深そうに聞いていた。
カヤネズミはじつは知的好奇心の強い種族なのかも知れなかった。
「カヤネズミたちも出産に必要な設備や道具が必要なら言ってくれ。作れるものなら作ろう」
「ちゅっちゅー」
「ありがと、いてる!」
俺には通訳は必要ないが。フィオが通訳してくれた。
「ありがと、フィオ」
「えへへー」
フィオの頭を撫でていると、
「…………めぅ」
なにやらメエメエが何か言いよどんでいることに気付いた。
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