Part11:勇者ちゃんが運ばれたのは姉妹が住む家でした
神様ちゃんねるをご覧の皆様、こんにちは! 神ちゃんでぇす。いえ~いいえ~い。
何で下界から目を離してるんだと怒られそうですが、今は大丈夫ですのでご安心下さいっ。
さて、何でね、勇者ちゃんじゃなく私が画面に映っているかと言うと、このパートからいよいよ勇者ちゃんの異世界転移物語が始まるからなんですね。
まず前回の動画の最後に出て来た第一異世界人であるあの女の子。何で可愛らしくてか弱いはずの女の子が、勇者ちゃんをお米様抱っこして連れて行けたのか、とか。転移させた時に違和感があったという私の発言、とか。魔王城に誰の姿もないとかどういう事だよ、とか。
視聴者の皆さんからいっぱいコメントを頂きましたけどもね、気になってるところがあるのは分かります。が、このチャンネルをね、見続けてもらえればね、全て答えはそこにありますのでね、そう焦らずゆっくりとお楽しみ頂きたいなと思っておりまっす。
なら早く見せろとかそんな身も蓋もない事言わないのっ! 大丈夫、ちゃんと撮り進めてますからね。
はい、ではでは前回の続きから改めて実況をご覧下さい、どうぞっ♪
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
はい、と言う事で勇者ちゃんがお米様抱っこをされたまま、村の中にある少し大きめの家まで銀色の髪の毛をした女の子に連れて来られました。ははっ、女の子ったら余裕だね。お米様抱っこしたまま片手でノブに手を掛けて扉を開けましたよ。
ちょっと撮影を止めてた時の事なんですが、この女の子ったら勇者ちゃんを担いだままね、襲ってきたスライムを蹴飛ばして倒してましたからねw なかなかに強いよこの子www
「ただいま~! ローラ姉様かラミィ姉様いるぅ~?」
女の子がお姉さんを呼んでますね。三姉妹なのでしょうかね。おっと、家の奥の方から眼鏡を掛けた、女の子と同じく銀髪の女性が出て来ましたね。
「お帰りなさい、スノォ。あらっ? その肩に載せているのは何かしら?」
「ラミィ姉様、あのねっ、あのねっ、村の中から草原を眺めてたらね、お空から人が降って来るのが見えたの!」
「まぁ、また村から出たの? 冒険するのもいいけど行き先は言っておいてほしいわ」
「うんごめんさい!
でねっ、でねっ、草原に探しに行ったらね、男の人だったの!!」
女の子の名前はスノォちゃんで、眼鏡を掛けたお姉さんがラミィちゃんですね。スノォちゃんの見た目は10歳くらいで、ラミィちゃんはどうでしょう。10代半ばってところでしょうか。ラミィちゃんはどこか神秘的というか、凜とした美しさを感じますね。ですが三つ編みにした銀髪のシッポを左肩から垂らしている分、優しい印象にも見えます。うん、実に良い。
スノォちゃんもラミィちゃんもどちらも美少女ですね。もうお1人ローラ姉様と呼ばれる女性がいるようなので、これまた楽しみです。
「男の人? まさか、そんな……」
スノォちゃんの説明を受けて、やっとラミィちゃんはお米様抱っこされているのが人間で、しかも男である事に気付いた様子です。近寄って、匂いを嗅いでから顔を確認。ぐったりしているのにやっと気付き、慌ててスノォちゃんをベッドのある部屋へ連れて行きました。
今何で匂いを嗅いだんでしょうかね……。
「ここに寝かせてあげて。うん、そぉっと、そぉっとだよ!」
うんしょっと肩から勇者ちゃんを下ろし、スノォちゃんが勇者ちゃんをベッドへ横たえます。
「こんなの着けて寝てたら痛いよねっ」
スノォちゃんは寝転んだ勇者ちゃんの身体から伝説の装備を外して行きます。ラミィちゃんはその様子をあわあわとしながら見守り、そしておそるおそる勇者ちゃんの額に手を触れます。
「う~ん……、体温がちょっと高い、かな? 呼吸も少し荒いかな。汗も掻いてる。あぁ、タオル持ってこないとっ」
パタパタと部屋を出て行くラミィちゃん。スノォちゃんはベッドの横へ椅子を持って来て座り、心配そうに勇者ちゃんの顔を覗き込んでいます。不安そうな表情も実にキュート!
勇者ちゃんってば寝てる場合じゃないよ、パッチリしたお目々を見つめ返さないなんて勿体ないなぁ。
またパタパタと足音を立てながらラミィちゃんが部屋に入って来ました。その手には汗を拭くための白いタオルと、青い液体の入った小瓶を持っていますね。何でしょうかね、薬でしょうか。
「はい、これでこの男の人の汗を拭いてあげてくれる?」
「うん、分かった!」
スノォちゃんがラミィちゃんからタオルを受け取り、とんとんとんと押さえるようにして勇者ちゃんの汗を拭いてあげています。何とも健気ですね、美しい!
そしてラミィちゃんは、液体の入った小瓶の蓋をキュポンと開けて、自らの口に付けましたね。
「ラミィ姉様、何で姉様が飲もうとしているの?」
目聡くスノォちゃんがその行動を指摘しました。あくまで手は止めずに勇者ちゃんの汗を拭きながら、顔は姉であるラミィちゃんに向けてジト目で見つめいています。これは女の勘というヤツでしょうかね。ラミィちゃんが今から何をするつもりなのかうっすらと気付いている様子です。
「えっ? これは、眠っておられるから、そのっ、飲ませて差し上げようと思って……」
「飲ませてあげるのに、何でラミィ姉様が先に口に含もうとしているの?」
「だから、それは、そのっ……」
妹であるスノォちゃんに問い詰められて、ラミィちゃんがしどろもどろになりながら答えようとしていますがハッキリとしませんね。ラミィちゃんピンチ!
「このお方に状態異常に効く回復薬をね、飲ませて差し上げるにはね、そのっ、くくくっ、口移ししないといけないのよっ!!」
なるほど、口移しなら零す事なく勇者ちゃんに状態異常回復薬を飲ませる事が出来るだろうと、そのお口をもって飲ませてあげようとしているようです。何と献身的な看護でしょうか。
しかしスノォちゃんは納得していない様子。ぷくっとほっぺたを膨らませてしまいました。
「じゃあワタシがしてあげるね。ラミィ姉様はそこで見ててっ!」
「ダメよ、お薬なんだからね。お遊びでしているのではないのよ?」
おっと、蓋が開いている小瓶を巡って取り合いに発展してしまいました。私がやる、いいえワタシがやると、実際に取り合いをしているのは勇者ちゃんに口移しでお薬を飲ませるお役目ですね。美少女姉妹が勇者ちゃんとキスをする権利を巡って争っています。姉妹にキャットファイトをさせるとは勇者ちゃん、何とまぁ業の深い事でしょうか!
おおっと!? 取り合いが激しさを増して来ました。勇者ちゃんの耳音でわーきゃーと声をあげ、姉妹が争っております。小瓶を振り回して、あぁあぁそんなにしたら薬が零れてしまう! 蓋が開いているのを忘れてしまったのでしょうかねぇ。ちょちょいのちょいっ。
バシャッ! あぁー言わんこっちゃない(棒読み)
2人があまりにも激しく小瓶を取り合うものだから中の薬が全部勇者ちゃんの顔に零れてしまいました(棒読み)
ざまぁみろ! これで美少女とキスをせずに済むねっ!!(暗黒微笑)
「「あぁっ…………」」
そんなに残念そうな顔をしなくてもいいのに。勇者ちゃんには勿体ない勿体ない。自分の身体を大事にしてねっ。
「ゲホッゲホッゴホッ!! っ、ここは……?」
はい起きた、目が覚めた! はいまた次回!!
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