Part7:伝説の伝説たる所以の解説と伝説になった瞬間の実況

 はいっ、前回の続きですね。今勇者ちゃんは魔王城の中、魔王が待ち受けているであろう玉座の間の扉に手を掛けています。大丈夫、神ちゃん目ぇ離してない。


 今までね、勇者ちゃんの装備について詳しく解説してなかったんですが、ここで簡単に説明しますね。

 伝説の剣と伝説の兜と伝説の鎧と伝説の腕輪と伝説の靴、です。全ての装備にもれなく付いている「伝説の」なんですが、文字通り事実として人々が言い伝える話という意味ですね。だからと言って特別な力とか、私が世界平和の祈りを込めた想いが籠っているとか、一切ないです。

 一応ね、伝説の伝説たる所以ゆえんは1つ1つあるんですが、特に説明する必要はないかなぁとね、思います。これもまたね、「伝説の装備って何で伝説なのか調べてみた!」的な動画として配信するかも知れません。


 ですがね、この動画の趣旨はね、不遇な状態の勇者ちゃんを異世界へ転移させてその後どのような生活を送るのかを実況するってものなのね。だからね、ここで死なれたら困るのね。神ちゃんの300年がパァーになっちゃうじゃん。

 ので、ここでゴッドパワーを使ってあの伝説の装備に神ちゃんの力を宿らせたいと思いまっす。えいっ!


「おおっ!? 伝説の装備が光り出した……!!」


 へへっ、勇者ちゃん驚いてるねー。見ましたか皆さん。伝説の装備がマジもんの伝説の装備になりましたよ。

 あれですよ、卵が先か鶏が先かみたいなもんですよ。誤差みたいなもんですよ(適当)


「力が溢れてくる……!」


 伝説の剣には攻撃力+の効果。伝説の兜には自動回復大の効果。伝説の鎧には防御力+の効果。伝説の腕輪には魔力+の効果。伝説の靴には素早さ+の効果を魔法付与しました。あ、エンチャントしましたって言った方がこういう動画っぽいかな? エンチャント! しましたっ!!


「この聖なる光で魔王を、倒す!!」


 ぐっと剣を両手で握り締める勇者ちゃん。そう、その光はね、魔王城の玉座の間がね、薄暗いからね、照明代わりなんだよね。薄暗くて何が何だか分からないと見てくれてるみんなに悪いからね。

 あと伝説の盾はありません。攻撃は最大の防御! 剣は両手で握って振るんですよ。相手の攻撃は躱すか剣で受け止めるかするんですよ。戦士は盾を持っていましたが勇者ちゃんに盾は必要ないんですよ。


 とまぁそんな事を言っている間に勇者ちゃんが扉をバンっと開けて玉座の間に入って行きましたね。ほっらっ! 薄暗いでしょ!! やっぱり伝説レジェンドシリーズに照明ライト魔法付与エンチャントしといてグッドだったよねっ! アーハンッ!?

 勇者ちゃんが伝説の剣をまるで松明のように掲げて部屋の中を照らしてますね。だから両手で構えろって言ってんのに。それは片手剣じゃないのよ、ったく。作った人の気持ち考えた事あんの?

 まぁ私が作った剣じゃないんだけどね。


「これは……?」


 玉座の間にある窓という窓に、木の枝がべちゃぁ~とへばり付くように伸びています。光を遮るというか、少しの光も逃さない為というか。で、その木の枝を辿ってみると、本来であれば玉座が置かれているであろう部屋の奥に、でんと大きく太い大樹があります。

 この世界の魔王はね、樹木系の魔物だったのね。んで、私がゴッドパワーでちゃちゃのちゃってして、幼女系魔王に変身させちゃったので、その名残がまだ残ってたんですね。


「誰かが捕えられているみたいだ、助けないと!」


 おぉっと、勇者ちゃんが何かを見つけたようですね! 一体何があったというのか!!(編集点)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る