Part5:勇者ちゃん、魔王城の先っちょを見上げて涙ぐむ

 はい、どうもこんにちは。神様ちゃんねるをご覧の皆様。神ちゃんでっす。


 えっとね、前回は勇者ちゃんが老婦人の家から逃げ出した、と言うよりもむしろ脱出したって感じでしたが。勇者ちゃんが行方不明になってしまいましたね。

 それからどうなったのかって事なんですが、勇者ちゃんってばどうやら老婦人が毎晩勇者ちゃんの部屋に入ろうかどうしようか迷っていたのに気付いてたみたいなんですね。で、何とかその魔の手(笑)から逃げようと荷物纏めたりして準備していて、遂にヤバイなと思ったタイミングで窓から脱出したみたいなんですよ。

 この危機回避能力すごいよね。さすが歴戦の勇者だわ。


 前回ね、あっ、前々回かな? まぁどっちでもいいけど。勇者ちゃんが何故勇者と呼ばれているのかを解説したと思いますが、それで勇者ちゃんは特別な力を持ってんの? って質問コメントを多く頂いたので、簡単にお答えさせて頂きますね。


 何のっ! 特別なっ! 力などっ! ございませんっ!!


 だって、私が彼を選んで勇者として認定した訳じゃないので。教会が勝手にゼノンって男の子を「お前が今日から勇者ぁ!!」って決めただけなので。

 だから神様からの加護だとか、精霊との契約だとか、王家の血筋だとか、一っ切ございませんっ! 身体の作りとしては一般人と何の差異もございませんっ!!

 あるのは勇者に選ばれたから自分は特別なんだという思い込みですね。その思い込みから来る努力と根性。これだけ。よくここまで来たなって正直思うね。

 すごい! 偉い!! 感動した!!!


 はい、で~ですね、今現在勇者ちゃんがどこにいるのかというと、最後の村からだいぶ離れた山奥ですね。先っちょだけですが、魔王城のテッペンが見えています。いやぁ、1人でも何とかなるもんなんだぁねぇ~。


「カーラ、バンディ、エトラ。遂にここまで来たぞ。俺の命に替えても魔王を倒してみせる。お前達の子供が安心して暮らせる世界にしてみせるからな……」


 ちょっと聞きました!? 勇者ちゃんどんだけ良い子なんだよおいっ!!

 自分を裏切って逃げて行った3人の事、もう許してるどころかこれから生まれる子供の為に命を賭けて魔王と戦うって言いましたよ! 普通こんな事言えますか!? 私なら無理だわ。逆に世界を滅ぼすね。嬉々として滅ぼすね。違いねぇわ。


 そうそう、勇者ちゃんを見失っている間にね、またレベルが上がってたのよ。元々がレベル56で、がむしゃらに修行して老婦人が作る魔物肉を食べてを繰り返して、前回の動画の時点でレベル89まで上がってたんですよね。

 で、今現在の勇者ちゃんのレベルが、ななな何と! 98です!! おしいっ、あと1で99だったのにね。その1レベルはとんでもない経験値を必要とするんだけどね。まぁそれは置いておいて。


 勇者ちゃんを見失っていたのは約2週間でした。あ、現地時間に換算してって事です。勇者ちゃんが老婦人から逃げ出した後にちょっと別の世界の様子を見ていたので、その分時間が経過している訳ですね。

 その間、勇者ちゃんはずっと野宿をして少しずつ魔王城へと近付いて行ってたみたい。何だろうね、悲壮って感じですよね。周辺にいる魔物はとんでもなく強くて、勇者ちゃんは1人だから昼も夜も熟睡する事は出来ないし、食料は魔物を倒せば良いとしても生肉を焼いて食べる程度。正直おいしくはないよね。老婦人による愛の籠った手料理だからおいしく頂けてたんだもんね。


 勇者ちゃんってばよく心が保っているよ。ポッキリ折れちゃっても誰も批難しない。はいお前が言うな禁止。確かにこの状況になるきっかけを作ったのは神ちゃんですよ? でもね、ここまで酷くなるとは思ってなかったよ(苦笑)


 まぁでもそれもあと僅かですよ。もうすぐ着くよ魔王城。このままの勢いで突入してくつもりかな?

 私としてはね、ここまで酷くなるとは思ってなかったのとね、魔王との戦いで勇者ちゃんに死なれたら困るってのもあるからね。ちょちょちょっと手を加えようかなとね、思ってる訳なんですよ。いわゆるゴッドモードですね。そのままかw


「あと少し、あと少しなんだ……」


 魔王城の先っちょを見上げて涙ぐむ勇者ちゃん。頑張れ~、あと少しで神ちゃんが全て台無しにしちゃう訳だけど最後まで諦めないでぇ~w

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