Part2:そして誰もいなくなったwww

 はい、それでは今から~、勇者ちゃんを異世界転移させる訳なんですが~。ちょっとね、味付けというかね、手を加えた状態から転移させちゃおうかなって思ってるのね。

 その下準備は実は、もう終わってましてね、勇者ちゃんにある事実が突き付けられるタイミングを今から実況して行きたいと思います。下界を覗きながらの実況なので、カメラワークとか頑張りまぁす。


 場所はね、魔王城近くの最後の村です。鬱蒼とした森の中を伐採して広げたって感じ。

 魔王城が近いから外をうろつく魔物も強くて、その魔物から村を守る為に攻撃力の高い武器やら防御力の高い装備なんかが売ってるという、まぁそんな村ですね。村というより砦とか要塞って見た目ですが。


 村人も実はそこそこレベルが高いんだよね。じゃないと簡単に魔物に殺されちゃうもんね。仕入れとかどうすんだよってなるから、ある程度自衛出来るステータスを持っています。

 ただね、レベルとかステータスは神様視点の概念であってその世界の生物には見れないから。神ちゃんだから数値化が出来るってだけだからね。念の為。


「すまん、ゼノン。俺達はもう旅を続ける事が出来ない……」


「なっ、突然何を言い出すんだ!?」


 あ、さっそく始まりましたね。えー、場所は最後の村の門の前です。さっきも言ったようにね、外は強い魔物がウロウロしているんで、村の周りは木材で作った塀に囲まれているんですね。で、村を出入りするには門を通るんです。

 で、さぁこのまま魔王城まで一直線で突き進む! って段階で先ほどの戦士の一言。もうね、勇者ちゃんからしたら意味分かんないよね~。

 ちなみにゼノンっていうのは勇者ちゃんの名前です。男性平均よりも少しだけ背が高く、細マッチョで髪の毛の色は青。顔付きは勇猛果敢というよりも大人しめな印象ですね。押しに弱そうな顔で、どちらかというと受けですね。おっと、これは余計な情報でしたねw


「ごめんなさい、ゼノン……」


「そのっ、えっと、あのっ……ごめんなさいっ!」


 戦士の背中に隠れた女魔法使いと女僧侶も一緒になって謝ってます。一体どういう事でしょうか(棒読み)


「お前達は黙ってろ! 悪いのは俺だ、俺がちゃんとゼノンに伝えるから。大丈夫だから」


「「バンディ……」」


 2人が戦士の腰に手を添えながら隠れていますね。ちょっと距離近くないですか?(すっとぼけ)


「ゼノン、すまん! 2人を妊娠させちまったんだ!!」


「……はぁっ!?」


 おーっと勇者は痛恨の一撃を受けた! 精神的ダメージが鋭く深く突き刺さる!!


 はい、もうネタバラシしますが私が世界の運命にちょちょちょっと手を加えて、戦士君が女魔法使いに手を出すように仕向けた訳です。

 ですが勘違いしないで下さいね! 無理やりさせた訳ではなく、あくまでそうなるようにそっと背中を押しただけです。女魔法使いも暴行を受けたのではなく、あ・く・ま・で、同意の上ですからね。ちなみにその光景は撮影しておりませんのであしからず。

 しかし何で女魔法使いだけでなく女僧侶まで妊娠しちゃったんだろうなぁ~(棒読み) 不思議だなぁ~(鼻ホジ)


「こんな状態で2人を魔王城に行かせる訳にはいかない! 新たな生命を宿した身体で、魔王に挑ませるなんて事、俺には出来ん!!」


 出来ん! ですって。いや出来たんだってばw 違うかwww


「そんな……、カーラ……?」


 カーラとは女魔法使いの事ですね。彼女は勇者ちゃんとは幼馴染でして、勇者ちゃんはいずれ彼女と結ばれるだろうと思っていた訳なんですね。うわぁ……。


「…………」


 いやいやカーラちゃん隠れてないで出てあげなよ。せめてちゃんと説明したげてよ。かあいそうだよ勇者ちゃんがwww


「カーラとエトラは俺が責任を持って幸せにする。だから、俺もお前について行く事が出来なくなった。すまん……」


 何がだからなのか。何がだからなのか!

 つまりあれですね、魔王に挑んで万が一死んでしまったりしたら、女魔法使いと女僧侶の面倒を見る事が出来なくなってしまうと。だから戦士もここでリタイアして3人で安全なところまで避難しますねと。そう言う事ですね。


 はぁぁぁぁぁぁっ!? 勇者ちゃんマジ可哀想www

 ほっら、リアクション出来ずに顔面真っ青になってるじゃないwww 世界を救おうと思ったら足元掬われちゃった系勇者www


「そういう事だから……」


 戦士が頭をペコリと下げましたね。いや下げたと言うかちょっと動かした程度ですけど。これが腹の底から悪いと思っている人間の態度でしょうかね~。疑わしいね~。

 これってさ、あれじゃない? 女魔法使いと女僧侶だけをこの村に置いて行くんじゃなくて、戦士も一緒に離脱するっていうのはさ、もしかしたらこの先の旅の道中で勇者ちゃんに殺される可能性を考えての保身の意味もあるんじゃない?

 ひっどいなぁ~、自分から裏切っておいてさらに勇者ちゃんを疑うとか、ないわ~。


 戦士の背中に隠れたままの女魔法使いが、何やら呪文を唱えていますね。おっと、これは……?


「~~~~~~~~~~~~~、ランランルー」 パラポロピレ♪


 魔法を使いましたね。この魔法はですね、一度訪れた事のある村や街に移動する事が出来る魔法ですね。ええ、ご覧の通り、勇者ちゃんを残して戦士と女魔法使いと女僧侶が魔法で空へと飛んで行ってしまいました。


 あ~、勇者ちゃん、膝から崩れ落ちてしまいましたね。伝説の剣がカランカランってw 落ちちゃいましたねwww

 いくら伝説の剣でも粗末に扱うと折れちゃうから気を付けないと。あっ、もう(勇者ちゃんの心は)折れちゃってるかwww


 はい、これから一体どうなってしまうのでしょうか!?

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