第2話 反乱軍

ブルン!ブルン!…ゴゴゴゴゴッ…ドン!


バイクは止まり、 機体から黒い煙を巻き上げ、 ガソリンが隙間から漏れ始めた。


「クソ…、 ガラクタか」


俺は仕方なくバイクから降り、 徒歩で西に向かう事にした。 何処までも続く地平線を見つめながら歩いた。 太陽は沈み、 野犬達の遠吠えが響き渡る。 暴漢者より野犬の方が危険だ。


「何処か身を隠す所は…」


俺は急ぎ足で辺りを散策した、 すると一軒の廃工場を見つけた、 外見はボロボロだが外よりは安全だ。 俺は扉を開け、 中に入り、 辺りを見渡した。


「此処にするか」


俺は腰を下ろし、 一晩休憩する事にした。


ガラン…


奥の方から物音が…


「誰か居るのか?」 


俺は刀に手を添え、 何時でも抜ける様にした。 ゆっくりと奥の方へ足を伸ばした。


「誰か居るのか?、 居るなら返事をしてくれ。 なんなら俺は立ち去るが?」


すると1人の少年が物陰から現れた。 服はボロボロで額には痣があった。


「貴方は王国の人間?」


「違う。 安心してくれ、 奴らの敵だ」


「もしかして反乱軍?、 助けに来てくれたの?」


「反乱軍?、 悪いが反乱軍では無い。 助けとは何だ?、 君に何かあったのか?」


「僕らの村が…王国の人間に破壊されたのです。 王に贈呈する作物が足りなくて…。 村の人達は連れ去られました、 僕は何も出来ず、 その場から逃げてきました…」


少年は目に涙を浮かべながら、 地に膝を着いた。 今にも涙が溢れ落ちそうだ。


「大丈夫だ、 俺が皆んなを救ってやる」


「本当?!」


「ああ、 だから涙を拭いて立ち上がれ」


少年は涙を拭き、 立ち上がった。


突然、 外からエンジン音が聞こえてきた。 そして男達の声が…。


「逃げたガキはこの辺か?、 野良犬に食い殺されたかのどっちかだな」


「きっと此処だ。 身を隠せる場所は此処だけだ。 沢山可愛がってやるぜ」


「ヒヒヒ…、 殺しちゃならないぜ。 王族に怒られちまう、 大事な奴隷だ」


少なくとも3人、 ゲスの笑い声がしっかりと聞こえてくる。 俺は刀を抜き、 扉の前に立った。


「少年、 隠れていろ」


「…はい」


少年は急いで身を隠した。 


俺は刀を構え、 奴が入って来るのを待った。 すると別のエンジンがまた聞こえてきた。


「数が増えたか…」


俺は刀を強く握り、 腰を下ろし、 地に足を踏みつけた。


「こい!」


ぐぁああああ!


突然外から男の叫び声が…


一体なにが?、 仲間割れか?。 俺は突然の出来事に理解が追いつかない。


すると外から


「反乱軍だ!」


「この女!」


ぐぁああああ!


「反乱軍?」


扉を蹴飛ばし、 1人の刀を持った女と武装した男達の姿が…、 そして女が言った。


「貴様は王国の人間か?、 我らの味方か?」


「俺は王国の敵だ」


「フッ…面白い男だ、 その刀…人斬りの様だな、 目を見れば分かる、 沢山斬ったな?」


「ああ…、 皆んな暴漢者のクズ共だ」


すると女は笑った。


「どうだ?、 我らと来ないか?」


俺と同じ王国の敵が、 初めて目の前に現れた。




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