野宿
鹿のような魔物を食べて僕はとある物を作り出した。
「何それ?」
「これ? 木の皮」
「それは見たら分かるけど、何を作るの?」
「木の皮の両端に穴を開けます。穴を開けたところに草をくるくるして強度を上げたやつを通す。そして、木の皮に文字を書く」
木の皮を削るようにして文字を書いていく。
「出来た!!」
「どれどれ……」
「見せて見せて!!」
『餌を与えないで下さい』
「何これ……?」
「プッ、アハハハ! フォレス、最高!!」
「そして、これをこの人の首から掛けて完成!!」
それと、もう一つやりたいことがある。出来るか分からないけど、多分リュクスなら出来ると思う。
「ねぇ、リュクス。この人の記憶とか見えたりする?」
「……出来なくもないけど」
「出来るなら、この人が誰からこの居場所を知ったのか、記憶覗ける? こっちは出来ればでいいんだけど、ここに来てカリーナを見た記憶を消してほしいんだけど」
「少し、時間かかるけどいい? 記憶を覗くのは、簡単じゃないから」
それから、30分ぐらい経ってリュクスの作業が終わった。
「ここに来たのは、王様の命令らしいね。それと、ここでカリーナと会った記憶は消しといたよ」
「うん、ありがとう」
その人を動けないまま放置して馬車を動かし始めた。
僕は馬車を動かしながらとある物を書いていら、二人に見つかった。
「何書いてるの?」
「地図だよ」
「「地図?」」
「そう。あった方が良いでしょ?」
「え、そんなの要らないよ」
「え!? もしかして……」
「うん。紙ある?」
「あるよ。はい」
さっきまで地図を書いていた紙を渡した。リュクスはその紙を持って『地図』と唱えた。すると、その紙に今まで通ってきた道が描かれた。
「嘘でしょ? 僕の今までの努力は……?」
「水の泡」
リュクスのストレートな言葉に僕はこの世界に来て初めて落ち込んだ。
「……それじゃ、これからは地図係リュクスね」
「あいよ〜」
僕とリュクスで話していると、カリーナが話に入りたそうにこちらを見ていた。
「どうしたの? カリーナ」
「私も喋りたい!!!」
「そんな事言わなくても入ってきて良いんだよ」
「わーい!! やっぱりフォレスは優しいなぁ」
「そうだ、カリーナ。何処か、街か村に着いたら魔法の使い方教えてよ」
「良いよ!!」
「俺も教えるよ」
「2人ともありがとう。2人以上に適任者は世界で見ても居ないよ」
そのまま馬車で移動しても、村も街も見えずに日が暮れ始めたので今日は野宿だ。
しかし、その判断に反対する人がいた。
「やだ!! 野宿やだ!!」
「カリーナ、落ち着いてよ」
「やだやだ!! 宿に泊まりたい!!」
「明日はちゃんと宿に泊まれるから……」
「明日じゃやだ!! 今日がいい!!」
カリーナは馬車の上で、駄々をこねる子供のように暴れ始めた。
僕の言葉も届かない以上、どうしようもない。
「リュクスも何か言ってよ」
リュクスは、口元に馬鹿にするような笑みを浮かべてカリーナに話しかけた。
「なによ? 何で笑っているのよ」
「いやなに、これが勇者かと面白くてね」
「……は?」
「まさか、勇者ともあろう者が野宿ぐらい出来ないなんて、まさか、そんな事あるわけないよな」
「なっ!? あ、当たり前でしょ!!」
リュクスの挑発に乗ったカリーナは野宿をする事に賛成する事になった。
「ねぇ、リュクス。あんな言い方しなくても良かったんじゃ」
「いや、魔王のしかも幼馴染から馬鹿にされたんだ、カリーナの性格上でも勇者としても、魔王の俺に馬鹿にされたら逆張りするだろうと思ったんだ」
「以外に、リュクスってカリーナのこと見てるよね」
その後広間を見つけ馬車を止め、カリーナの『収納』からテントなどを取り出した。
それから、なんだかんだ野宿を楽しんだカリーナは、次の日の朝、野宿を楽しんでいた自分を思い出しよく分からない顔で落ち込んでいた。
「カリーナ。その顔どうした?」
「……野宿も……悪くない……かも」
「おー、良かった。これからは、宿取れなくても大丈夫だね」
「え、野宿は楽しいけど宿には泊まりたい」
「分かってるよ。それじゃ、顔洗って朝ご飯食べたら馬車に乗ってね」
「はーい」
リュクスを起こしにいくと、すでに起きて腕立て伏せをしていた。
「リュクス、汗拭いてから朝ご飯食べに来てよ」
「ふっ、はいよ、ふっ」
その日は日が暮れる少し前に村を見つける事が出来たので、宿をとって泊まる事が出来た。
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