第3話 不思議な話と帰り道
「最近、避難勧告がよくあると思うけれど……」
急に始まったルモカによるツミキへの説明。ニコニコ話すルモカに対し急に緊張感で固まるツミキ
「あの、ルモカさん……」
カエデも重い雰囲気に耐えられず席を外そうとする。だが、ルモカに、右腕を掴まれてしまう
「一緒に説明しましょ。その方が説明も分かりやすいだろうし」
ニコニコ話すルモカを見て、仕方なしに座り直すカエデ。座った事を確認して、ツミキの方へ座り直してまた説明を始めてく
「避難勧告を出しているのは、ここ。世の中色々あってね。みんな怪我しないように避難指示を出したりしているの」
その後もあれこれと話していくルモカ。少しずつ難しくなっていく内容に、段々とツミキの表情が強張っていく
「あの、ルモカさん」
楽しく話すルモカを止めるカエデ。そのまま、楽しそうに後ろにいるカエデの方に振り向く
「なに?どうしたの?」
「話が追い付いていないようですが……」
二人でツミキを見ると、やはり話が分からず難しそうな顔のツミキがいた
「ごめんなさい。そうよね。急に言われても分からないね」
そう話すルモカに頷くツミキ。それを見たカエデも苦笑いで頷く
「それにあまり、話すのは良くないかと……」
「んー、そう?それなら、仕方ないか」
話が終わってホッとしていると、突然ルモカが立ち上がり、カエデの前を通り、どこかへ行こうとしている
「じゃあ、カエデちゃん、ツミキさんを送ってあげて」
「えっ?なんで?」
「年の近いほうがいいでしょ?ちゃんと伝えておくから、ねっ」
カエデが書いていた報告書を取ると、二人を残し、どこかへ歩いていくルモカ。残されて気まずい中、カエデがツミキに話しかける
「えーと、ツミキさん……でしたっけ?玄関まで送ります」
「えっ、はい。お願いします……」
席を立ち玄関へ向かう二人。特に話すこともなく進んでいると、少し前を歩くカエデにツミキが、ちょっとビクビクとしながら話しかける
「あのー、カエデさん」
「はいっ、なんでしょうか?」
急に話しかけられて勢いよく振り向む。勢いに驚くツミキ
「あの、さっきは助けてくれて、ありがとうございます」
お辞儀をして謝るツミキ。それを見て、カエデもペコリとあたふたとお辞儀をする
「いえ。私こそ怪我をさせて……ごめんなさい」
お互い謝ったあとは、無言のまま進み、とある扉の前にカエデが止まった。すると、ふぅ。と大きくため息をついて、後ろにいたツミキの方に振り向いた
「ここが玄関です。帰り道は出たら分かると思いますので……。ここの事は一応厳密にお願いします。では、気を付けてお帰りください」
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