第2話 気まずい目覚め

「で、どういうわけだね」

 知らない人の話し声で、うっすら目を開ける。ここは知らない場所、知らないベットの上にいた。声のする方を向くと、隣で助けてくれた二人が、がたいのいい知らない男の人に怒られていた

「申し訳ありません」

「ごめんなさい……」

 うつ向き謝る二人。はぁ。とため息ついて、こちらを見る男性。慌てて寝たふりをする

「一般市民の巻き添えなど言語道断。なぜさっさと倒さなかったのだ」

「……それは」

 なにも言い返せず言葉に詰まる二人。無言のまま時間が過ぎて、また男性が大きくため息をついた

「この子は目覚め次第、説明を受け帰路につくだろう。余計な接触、会話はせぬようにな」

 二人の横を歩き部屋を出ていく男性。部屋に残った二人は、ベットで寝ている姿をしばらく見たあと部屋を出ていった



「ミオリさん。すみませんでした」

 部屋を出て、広い廊下を歩いていた二人、突然謝る女の子。少し前を歩いていた女性が立ち止まり、振り返ると頭を下げている姿があった

「謝ることはない。仕方ないことだ」

「……でも」

 くるりと進もうとした所へ歩き出す。顔を上げ後を追わずに後ろ姿を見ていると、気配に気づいたのか立ち止まり少しこちらを見る

「私はトレーニングに向かう。報告書は頼んだ」

「……はい」



「目が覚めた?」

 三人が部屋を出たあと、体を起こしボーッとしていると、白衣を着た女性が声をかけてきた。微笑むその人は、隣にあった椅子に腰かける

「起きれる?傷は完治していると思うけれど……どこか痛む?」

 優しく話しかけてくる女性。座ったまま、まだ傷があるかとキョロキョロと体を見渡てく

「……いえ。大丈夫です」

 じっくり体を診られて、ちょっと引き気味に返事をする

「それは良かった。じゃあ起きてすぐ悪いけど……」

 と、話してすぐバタバタと数人の傷だらけの人達が部屋に運び込まれてきた。一気に騒がしくなった部屋。あっけにとられている間に部屋が狭くなっていった

「ここは医務室。訓練後の人達がうるさいから、静かな場所に移動しましょ」



 医務室を出て、しばらくすると廊下の途中にある待ち合い場で一人、何かを書いている女の子がいた

「……あっ、ルモカさん」

 目の前を歩いているのに気づいて声をかける。特にあてもなく歩いていた二人。声をかけられて立ち止まる

「あら、お仕事?」

「はい。お疲れ様です」

 ルモカと言われる白衣の女性と話していると、隣の女の子に目を向ける

「さっきは……」

 話につまり、何となく目をそらす二人。ルモカが気まずそうな雰囲気に気づいて、無理矢理左隣に座る

「あなたもほら座って」

 ルモカの右隣に座るように諭され、座っても何だかやっぱりまだ気まずいままの二人。間に座ったルモカが、ニコニコと、一緒に来た右隣に座る女の子に話しかける

「この子はカエデちゃん、あなたは?」

 と、右隣にいる子の紹介をするルモカと、急に言われて焦るカエデ。それを気にせずちょっと俯いている

「……ツミキです」

 少し小声で名前を言うツミキ。話してくれてホッとするルモカとまだ気まずいカエデ。ルモカがツミキの方へ体を向けると、ギュッと手を握る

「では、ツミキさん」

 今度はちょっと真面目そうな顔になるルモカ

「この場所、さっき起こったことを説明します。ですが厳密にお願いします」

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