日本に帰る日 〜最終回〜

 3級も中頃をすぎると『帰国』の文字が頭をよぎります。

 早めに航空券を買っておかなければ高くなると思い、色々購入方法を考えていた時。

 頭をよぎったのは、直接日本の航空会社のホームページで購入する方法でした。

 しかし、私はクレジットカードを持っておらず、韓国にいるから日本のインターネットバンキングは使えない。

 韓国のATMから日本に振込んだら手数料が高くつく。

 直接日本の航空会社では購入できないなと、あきらめました。

 

 その次には、韓国の航空会社で購入することでした。

 しかし、この方法も問題が……

 TOPIKの勉強やら語学堂の課題やら、翻訳家の勉強やらで気が気じゃなくて、韓国の航空会社のホームページでじっくり翻訳しながら購入する時間もない。

 韓国の航空会社なら割安で購入できるかなと思ったのですが、この方法も結局あきらめました。


 手数料はかかりますが、留学斡旋会社でも航空券の手配をしてくれます。

 私の場合、会社とは色々あったし、やはり日本の会社に振り込みとなると振込手数料が高くつくので、最初からこの方法は念頭にありませんでした。

 日本の旅行会社も海外に営業所があるだろうと思いつき、ネットで検索してみました。

 最初に思いついた旅行会社がHISで、ソウルに支店がありました。

 早速日本語で航空券手配の依頼メールを送ってみたのですが、日本語で回答のメールを送ってくれました。

 日本の会社なので新千歳空港からの国内線も手配してくれましたし、安い便を探してくれました。

 そしてありがたいことにソウル支店に振込めばいいので、振込手数料が安くすみました。

 クレジットカードがあれば、もっと購入方法の幅が広がったかもしれません。

 留学する前に作ればよかったなと後悔しました。



 大学在学中、ビザの有効期限が近づいてくると、ビザが切れる日と帰りの飛行機の便を、大学側に確認されます。

 3級の時に、わざわざ教室まで事務員さんがやってきました。

 そして私からビザが切れる日と帰りの飛行機の便を聞いて、メモしていきました。

 ビザが切れた後に韓国に滞在すると、不法滞在になるからだと思いますが、大学側がきちんと管理するとは思わなかったです。

 留学生の中から不法滞在者が出ると、大学側にも責任を問われるのでしょうか……?

 その時に確認したっきりで、ちゃんと飛行機に乗ったかとか、日本に到着したかとかはこちらから連絡しなくても大丈夫だし、大学側から連絡がくることもありません。



 帰りの準備をしようと荷造りを始めたのですが、日本から送った時のダンボールを取っておいたので、いざ荷物を詰めようとしたら……

 半年間分のシャンプーや洗剤類を持ってきたので、韓国にきた時より荷物が絶対に減ってると思いきや、増えてました!

 なぜなんでしょう……? 

 自分でもわかりません(笑)

 持ってきたダンボールだけでは足りなくても新しくダンボールを買うことはせず、必要ないかなと思うものは捨て、布団は洗濯してコシウォンにあげてしまいました。

 韓国留学初日に私を案内してくれたサポーターさんが見つけてくれた思い出の電気敷毛布も、持って帰ってこれなくて、まだ留学生活を続ける友達にあげたような気がします。(記憶はあやふやなのですが)

 

 郵送の仕方ですが、あらかじめ郵便局でEMSの送り状をもらってきておいて、コシウォンで書いておきました。

 ちなみに韓国は、郵便局でダンボールを購入することができます。

 ガムテープやカッターなどの荷造り用の備品が置いてあるので、その場で荷造りすることもできます。

 旅行中お土産物を日本に送りたい時は便利だと思います。

 郵便局が歩いて五分のところにあったので、部屋からコシウォンのエレベーターまで一箱ずつ運び、一階まで五箱運びます。

 郵便局には歩いて運んで、一箱目の時に職員さんに声をかけてはじっこのほうに置かせてもらい、またコシウォンに戻り、また一箱運ぶ。

 それを五回繰り返しました。

 重くはないですけど、それなりにたいへんでした……(汗)

 あらかじめ内容物を送り状に書いたし、郵便局の人もチェックしてくれて、大丈夫だと思いきや。

 後日管理人さんがやってきて、郵便局から呼び出されているとのことでした。(送り状にはコシウォンの電話番号を書いたので)

 なんのことだろうと思い、かけつけると、ダンボール一個だけが税関に引っかかって戻ってきたとのことでした。

 引っかかったのは、電子辞書で使う電池でした。

 多めに持ってきていたので、あまってしまい、もったいないから送り返そうとしたのですが。

 日本からなら大丈夫だったのに、韓国からは送れないなんて……

 EMSは国によって送れないものがちがうので、おそらく韓国から日本には送れないということだったのでしょう。

 電池を取り出し、改めて送ったのですが、職員さんは最初に送ったのを一度キャンセルし、新たに一箱送るということにしてくれました。

 キャンセルした分の送料は、通帳に振り込みとなります。

 韓国で通帳を作っておいてよかったと思いました。

 建国大学からの皆勤賞の振り込みもあったし、通帳があれば便利かもしれないと思って解約しなかったのですが、予想もしなかった出来事にぶつかって、解約してなくてよかったと思いました。


 

 いよいよ日本に帰る日。

 早めにコシウォンを出たのですが、事故で道が大渋滞してしまい、空港バスが仁川空港に着いたのは、飛行機が離陸する三十分くらい前でした……(汗)

 チェックインカウンターで受付すると、すでにエコノミークラスがいっぱいとのこと。

 ビジネスクラスが空いているので、職員さんはビジネスクラスに変更してくれました。

 同じ料金でいい席に座れたので、ラッキーでした!

 しかしそこからが大変でした……(汗)

 日本行きの便が発着するゲートが非常に遠い……

 パソコンと傘と手荷物を持って、走っても走っても着かない……

 仁川空港の広さを恨みました!

 ゲートには十五分前に着くことができたのですが、搭乗口には誰も並んでおらず、てっきりみんな乗り込んだと思ったのですが。

 搭乗口に一人たたずむ私の耳に、新千歳空港行きの便の搭乗案内のアナウンスが……

 これから搭乗するところでした(笑)



 最後になりましたが、必要なくなった外国人登録証は、韓国の空港の出入国審査場で返却します。

 ビザが切れれば外国人登録証は使うことができません。

 でも、出入国審査場の職員さんにさし出したら、返却したら韓国に入国できなくなると言われました。

 私がまだビザが切れていないのに、かんちがいして空港に渡そうとしていると誤解したようです。

 私はそれを承知で返却するのだという意志を見せたら——とっさのことで韓国語が出てこなくて、ただ「네〜」とだけ返事をして、登録証を返すジェスチャーをしました——職員さんは黙って受け取ってくれました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る