2級キャンパスライフ

カカオトークチング達

 本題に入る前に、突然ですが、題名の『うんばんうる』がなにかといいますと、『銀の鈴』という意味です。

 韓国語で『ウン』が銀、『방울バンウル』が鈴、合わせて『銀の鈴』になりますが、これに花という意味の『コッ』をつけると、スズランになります。

『韓国留学体験記』というとちまたにあふれているので、どんな題名にしようかなと考えていたとき、庭の花壇に植っているスズランを思い出しました。

 それだけの理由なのですが、ひらがなにしたら響きがかわいかったので、この題名にしてよかったと思います。

 

 

 授業が始まって何日かたつと、みんなでカカオトークでグループを作ろうという話になりました。

 仲良くなってからならいざ知らず、まだ名前も覚えてない人達とSNSでつながることに一抹の不安を感じて躊躇していました。

 しかしクラスでグループを作るのは、建国大学の語学堂では当たり前のことらしく、そのときはまだ韓国の携帯電話を持っていなかったので、日本から持ってきたiPhoneでチングになりました。

 もちろん先生もカカオトークチングになります。

 カカオトークは日本のラインのようなコミュニケーション型SNSで、韓国ではこのカカオが主流です。

『チング』は韓国語で友達です。

『친구』とつづります。

 クラスの連絡事項もカカオでメッセージがきます。

 課外授業もあるので、地下鉄の駅で待ち合わせるときにも、先生や生徒達とカカオで連絡を取り合います。

 

 知らない人達とSNSでつながることに不安だった私も、二級三級とすごしていくうちに、問題が起こることなく、いつの間にか外国の生徒達とも当たり前のようにSNSで会話していました。

 今でもつながっている人もいます。

 一学期が二ヶ月と一週間くらいで、クラスメートとしてすごした期間が短いので、私のことは忘れてしまったと思いますが、相手側から解除しないかぎり、そのままにしておこうと思っています。

 みんな常識的でいい人達でした。

 唯一のコミュニケーション方法がつたない韓国語なので、たくさん会話できたわけでなく、彼ら彼女らのことを深く知り得たわけでもないのに、一緒に経験したことは大切な思い出だし、交流できてよかったと思います。

 たまにカカオの友達画面を開くと、留学してた頃を思い出して、懐かしくなります。

 

 建国大学は担任の先生と副担任の先生が、一日おきに授業をします。

 副担任は別のクラスの担任もしています。

 私のクラスの担任の先生は女性で、優しかったという印象が強いです。

 というか、今までで出会った人の中で一番優しかった人でした。

 テストで出るところをそれとなく教えてくれましたし、私がイスにかけていたコートが落ちると、わざわざかけ直しにきてくれます。

 韓国語は後にくる単語によって不規則変化をする単語があるのですが、各文法ごとに不規則変化する単語をホワイトボードいっぱいに書き出してくれます。

 生徒達の人数が少ないせいか、いろいろな意味で先生と生徒達との距離が近かったように思えます。

 一学期たった二ヶ月とちょっとしかふれあいがないのにもかかわらず、今までの人生の中で一番先生と生徒という気分を味わえたのが、建国大学でした。


 副担任は男の先生でした。

 キムチと漢江ハンガンとサッカーとコーヒーが好きという、いかにも韓国人男性という感じの人で、面白くていい先生でした。

 勉強は楽しくなければ!

という人で、とにかくテンションが高い!

 早口なので、最初は聞き取るのがたいへんでしたが、慣れてくるとノートを取っていても頭に内容がガンガン入ってきます。

 

 副担任の先生は他の級も教えているので、初級の生徒には少し難しい単語を使います。

 生徒達がわからなさそうにしていると、ホワイトボードに単語を板書してくれるので、自分で電子辞書で調べたものでした。

 先生は生徒達の学力に合わせた韓国語を使いますが、もっと上の級を教えてる先生達はたまに難しい単語を使うこともあります。

 三級の担任の先生は、前期まで四級を教えていたので、ついごちゃごちゃになってしまって、まだ習っていない単語を使ってしまうのだと言っていました。

 

 先生達は午前は語学留学生の授業をして、午後は交換留学生の授業をしているそうです。

 韓国語が通じない相手に、生徒達が理解できる単語と文法だけを使って、身ぶり手ぶりを混ぜて授業するので、けっこうたいへんかもしれません。

 しかも毎学期最終日には、大学は生徒達に先生の無記名評価をさせます。

『授業はわかりやすいか?』とか『わからないところをわかるまで説明してくれるか?』とか。

 韓国語を教えるプロとして気が抜けません。

 日本では先生を評価することがないので、不思議な経験でした。

 

 授業はというと、教科書はすべて韓国語だし、教室では韓国語しか使ってはいけないので、あらかじめ文法を予習して、あるていど理解してから授業にのぞみました。

 独学で韓国語を勉強してきて、ずっと疑問に思っていて、伸び悩んでいたところが、授業でとてもわかりやすくなりました!

 動詞、形容詞、名詞に接続するとき、文法がどのように接続するのかをこまかく教えてくれます。

 動詞なのか形容詞なのか名詞なのかわからない単語、推量の意味である『같다《カッタ》』、願望の『싶다《シッタ》』は形容詞です。

 なので形容詞と同じように文法に接続させればいいわけです。

 そういうところも日本で独学していると、いつまでも知らなかったことかもしれません。

 

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