銀行口座を自力で開設

 建国大学では通帳が必要です。

 奨学金の振り込みをするためです。

 建国大学ではクラスで一番になったときと、皆勤したときに授業料の10%の奨学金をもらうことができます。

 授業が始まるとすぐに担任の先生は、生徒達から通帳を集めます。

 私は持ってなかったので、作ったらすぐ提出するように先生から言われていました。

 口座は昔はパスポートがあれば開設できたのですが、近頃は外国人登録証がないと審査が通りません。

 

 登録証も取得できたことだし、電話番号も手に入れたし、通帳を作らねば!

 そう思ったのですが……

 

 銀行口座開設も日本にいるときから、留学斡旋会社にサポート依頼をしていました。

 四〜五日前にメールで、金曜日の午後に口座開設サポートの予約を入れておきました。

 会社側も承りましたと回答してきたので、大丈夫だろうと思っていたのですが……

 金曜日のお昼になっても会社からまったく連絡がきません!

 どうやらサポーターは、韓国在住の日本人をアルバイトで雇っているらしく、都合できなかったのでしょう。

 依頼があったのに、まさか日本の企業である留学斡旋会社が、前金をもらっているのにもかかわらず、なにもしなかったとは思いたくありません。

 心当たりをあちこちあたっても、みんな用事があって都合がつかなかったのだと今でも自分に言い聞かせています。

 それならそうと、サポートを延期してくださいとの連絡をくれればいいのに!

 事前に連絡がきていれば、

「きっと事情があるのだろう、しかたがない」

と思えるのに、まさかすっぽかされるとは……

 さすがに怒りました!


 かなり強い口調のメールを送ったのですが、お詫びの言葉一つない簡潔なメールが返ってきて、その上しめの言葉が、


「なにかありましたらご連絡ください」


 連絡すればサポート拒否と放置をされるのに、何を連絡しろと?!

 サポート料金を返金してくださいとメールしたら、返金しますと答えたのにもかかわらず、返金してくれませんでした……(泣)

 なんやかんや理由をつけて拒否したり、放置したりして、最初からサポート代金をちょろまかす気だったのかもしれません。

 業界最安値の仕組みが、ここにあったのですね。


 しかたありません。

 一人で学生会館の中にある新韓シナン銀行に行きました。

 韓国語に自信がなかったので、メモ用紙にデビットカード(韓国ではチェックカードといいます)と交通カードの引き落としと、ネットバンクが使えるようになりたいと書いて持って行きました。

 銀行に行くと、日本みたいにフロアに案内する職員さんが立っています。

 その人に通帳を作りたいと告げると、番号札を取ってくれて受付カウンターを教えてくれました。

 こういうシステムは日本と同じなので助かります。

 

 受付に通帳を作りたいと言いながらメモを渡すと、韓国ではちがう単語を使うらしく、受付の人は隣の人にメモを見せながら、なんのことか聞いていました。

 そして何枚もかさなった書類を手わたされ、しきりに

「書いてください」

と言いながら、署名しなければならない欄を蛍光ペンでマーキングしてくれました。

 すべて韓国語なので書類になんて書いてあるのかはまったくわかりませんでしたが、職員さんが書いてくださいと言ったところは署名するだけでしたので、言われるままに何ヶ所か署名しました。


 銀行の女性職員さん達は早口です……

 聞き取れません。

 それでも理解できたのは、どこの国も契約書には署名するもので、署名するところがいかにも署名する欄という見た目だったからです(笑)


 口座はぶじに開設できました!

 交通カードの引き落としはできなかったのですが、ネットバンキングは職員さんが私の携帯電話からできるようにしてくれました。

 新韓銀行のアプリをインストールしてくれ、銀行からのお知らせはスマホでチェックできます。


 留学を終えた今でも、このときに作った通帳を解約せずに持っています。

 韓国のスマホを解約してしまったので、ネットバンキングだけ解約してきました。

 韓国に旅行に行くたびに記帳したり入金したりと手間がかかりますが、韓国の銀行は日本よりも利率がいいそうです。

 

 それに旅行中に買い物するとき、デビットカードで支払うことができます。

 韓国で現金払いすると、金額を全部聞き取れなくて、聞き直すのもめんどうだからつい大きいお金で払ってしまい、結果小銭でお釣りをもらうので、貨幣がやたらとたまります。

 韓国のスーパーは店員さんがレジを通したそばから、自分で袋に入れなければならなく、すごくあせります……

 たとえ聞きとれる実力があったとしても、そんな余裕がありません!

 カードで払えば、サイフからお札や小銭を出したりしまったりする手間がはぶけて、会計も袋詰めもスムーズにすみます。

 クレジットカードでいいのでは?

と思われがちですが、私が留学する前は、韓国のニュースを見るたびにクレジットカードの事件がよく報道されていました。

 韓国語の実力がなかったので、詳細はわからなかったのですが、韓国ではクレジットカードを使わないほうがいいんだなと思いました。


 韓国のお金は毎日レートが変わるのですが、だいたい10ウォンが日本円で1円です。

 私は韓国のお金からゼロを一個取った金額が、だいたい日本円だとしています。

 ウォンに両替すると、たくさんのお札で財布がパンパンになるので、お金持ちになった気分になります。(あくまで気分だけです)

 50,000ウォン札が一番大きなお金で、10,000ウォン札、5,000ウォン札、1,000ウォン札。

 通貨が、500ウォン、100ウォン、50ウォン、10ウォン。

 日本とはちがい、10,000円札がありません。

 100円がお札なのも不思議な感覚です。

 

 両替所によってもレートが変わります。

 日本の空港はレートが悪いです!

 韓国の空港では一度も両替をしたことがないのでわかりませんが、渡韓する前に日本の空港で一度だけ両替したときは、レートがよかったのにもかかわらず、マイナスになってしまいました!

 レートがいいときは、日本円から韓国ウォンに両替するときは、通常得します。

 反対にあまったウォンを日本円に両替するときは損をします。

 なので私は使う分だけウォンに変えて、あまったら日本円に変えずに次回韓国に旅行するときに使うようにしています。

 その他、ホテル、銀行、民間の両替所で両替できますが、一番レートがいいと言われているところが、明洞ミョンドンにあります。

 両替所が何軒か並んでいるところにあるのですが、みんな噂を聞いているのか、その両替所だけいつもお客さんでいっぱいです。

 私はクラスメートに教えてもらってから、明洞に用があるときにはそこで両替しています。


 通帳を作ったので、大学の担任の先生に提出しました。

 私は二級三級のときに皆勤賞をもらいました。

 あてにしてたわけではないのですが、もらってみると半年間まったく収入がなかった身としてはうれしいものでした。

 

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