夜叉王
冒険者となった明くる日俺たちは冒険者ギルドに再び来た
仲間を探す為だ、Dランク以上の冒険者、もしくはまともそうな人達のパーティ
なんか声が聞こえる
「お前なんかが来るところじゃない、帰れ!」
「我は冒険者だ。なぜ、ギルドに入ってはならないのだ」
1人の男とガラの悪い冒険者たちがケンカをしていた
いや、1人の男が絡まれているのだ
「ちょっと、いぢめじゃないのこれ?」
南がヅカヅカと歩んで、話かける
「何を言ってるんだ、その男夜叉族だぞ」
「「夜叉族」」
俺と南はその男をよく見た。人間そっくりだ。ただし、頭に小さな角がある
この世界には人間、魔物、魔族以外にも知的生命体がいる
獣人族、エルフなどの妖精族、そして亜人族だ
彼は夜叉族という、おそらく亜人族だ
「でも、冒険者なんでしょ?」
南が更に食い下がる
多分、夜叉族の男がイケメンだからだ。南のBLと母性が発動したに違いない
「亜人族と仲間だなんて思ってねーよ」
「そうだ、人間じゃないんだぜ」
彼らはいわゆる差別主義の人間だ。この世界では亜人属は人間の仲間だ
だが、差別というものはある。アルナロック の講義で聞いた事がある
「なんでだよ、亜人族の人は人間に害をなさないじゃないか」
俺は訴えた。夜叉族の男に自分を重ね合わせた。いぢめられた事だ
「あの、ギルド内での揉め事は困りますが」
受付のお姉さんがガラの悪い冒険者に注意を促す
「ちっ、しょうがないな」
「ああ、行こう」
冒険者ギルド内でトラブルを起こすと内容に応じて処罰がある
差別は認められた事ではない、彼らもどちらに責があるかわかっているのだろう
「ありがとう。人に助けられたのは初めてだ。いるのだな。人にも優しき人が」
「そんな、そんなにひどい仕打ちをされてきたのですか?」
俺は思わず聞いた。とても人ごととは思えなかった
「まあ、色々とな」
俺はでも、閃いた、そして、南も同時だった
「あの、冒険者ランクいくつですか?」
「ランク、ランクならCだが、それがどうしたのだ?」
「私たち、まだFランクでパーティも組めないんですよ」
「そうなんです。できればパーティ組みませんか?」
「......」
夜叉族の男は沈黙した
「わかった。我も助かる」
「あ、私、南といいます」
南が綺麗な目をキラキラさせて自己紹介した
「私は高野」
「我は夜叉王、よろしく頼む」
「「夜叉王?」」
種族の名前がそのまま名前?
つまり夜叉族の王様?
その後、俺たちは色々事情を伝えた
俺たちが救世主である事、Fランクとはいえ、実際にはかなり強い事
だが、南が賢者である事や、俺の銃の事は秘密にした
あまり目立ちすぎるとアルナロックの国王や
勇者島村たちが迎えに来るかもしれない
今、アルナロック や島村たちにとって俺たちは極めて有力な戦力だ
だが、俺は島村たちの元へ帰るつもりはなかった
須田がいるからだ
一方、夜叉王も自分の境遇を話した。
一族の古くからの慣しにより1年間の武者修行中だった
しかし、彼は夜叉族な為、嫌われて、なかなかパーティに入れてもらえない
最初、いい人達に拾ってもらえたのだが、他の冒険者からの嫌がらせなどで
迷惑がかかり、自分からパーティを抜けたそうだ
「これで、冒険できるね」
南が目をキラキラさせていう
大きな瞳、長い睫毛、文句なしの美少女南
でも、今日、宿に帰ったら、夜叉王で妄想して、よだれ垂らして、鼻血出すな.....
「こちらこそありがとう。よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
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