冒険者となる

冒険者への道

双頭竜を倒した俺たちはエルアラメインの国王から褒賞として


 アダマンタイトの剣と冒険者ギルドへの紹介状をもらった


 アダマンタイトの剣は南が装備する事になった


 南は剣で戦うつもりらしい。彼女は男勝りなのだ


 冒険者ギルドへの紹介状はこちらから嘆願した


 国王は驚いた様だが、快く紹介状を書いてくれた


 俺たちは冒険者になるつもりだ


 南と話しあったが、今後の方針として、


 まずは冒険者として生計をたてられる様にする


 そして、俺が男に戻る為には魔族に相談するしかないのではないか?


 という結論に達した


 最終的には魔族との戦いに明け暮れている


 アリシア教の聖地ユグラドシルを目指す事にした


『ガタン』


冒険者ギルドの扉を開ける。俺の心臓はバクバクいっていた


 あからさまに乱暴そうな人ばかりがいた


 魔物との戦いに明け暮れる冒険者は当然そういった人達が多い


「すいません。冒険者になりたいのですが」


「いらっしゃいます。あら、可愛い入団希望者さんですね」


受付のお姉さんが俺と南を見てそういった


「冒険者登録とパーティの結成をお願いしたいのですが」


「わかりました。では、しかるべき人の紹介状か


 ギルドの試験を受けてもらう事になりますが


 どちらを希望されますか?」


「紹介状があります」


「拝見します」


「......」


受付のお姉さんの目が点になる。何度か目をゴシゴシする


「あ、あの、この紹介状


 あ、いえ、失礼しました


 少しお待ちください。上の者と相談します」


と言うと受付のお姉さんがその場をパタパタと後にした


「怪しまれたのかしら?」


「多分、国王の紹介状はかえって偽物と思われたのかも」


俺たちは困った


「お二人共こちらへどうぞ」


程なくして受付のお姉さんがやって来て、奥の応接室に通された


 しばらくして、少し老いた男性と受付のお姉さんがやって来た


「初めまして、ギルド長のエグベルトと申します」


「受付のアリスです」


「私はアルケミストの高野です」


「私は賢者の南です」


自己紹介をすると二人共、あからさまに驚いていた


「失礼しました。その、賢者様など、


 私がお会いできる機会があるとは思っておらず」


「いえいえ、そんな私達そんな対した人間ではないですよ」


いや、そんな訳ないだろ、賢者って、人間世界の宝なんだから


「はい、正直驚きましたが、国王の書状は間違いない物です」


「では、ギルドへの加入は大丈夫なんですか?」


「それはもちろん、ただ、言いにくい事がございまして」


「なんですか?」


「後ほど受付嬢からギルドに関する規程のご説明をさせていただきますが


 最初に言っておかなければならない事がございます」


「なんですか?」


俺と南は顔を見合わせた


「その、規程でいかなる冒険者もFランクからスタートします


 例外はございません。あなた方の実力は国王陛下が保証されております


 しかしながら、最初は下積みから始める必要があります」


「それは規程なら、しょうがないわね」


南が優等生らしい回答をする。だが、まずい、おそらく、色々不便な事がある筈だ


「さしわたって困る事はありますか?」


「それはございます。Fランクの冒険者はパーティの結成が認められておりません」


「え、じゃ?」


「はい、冒険者の登録は致しますが、パーティの結成は認められません」


「パーティを作るにはどうすればいいのですか?」


「Dランク以上の冒険者にパーティリーダーとなってもらいパーティを立ち上げるか


 他のパーティに入れてもらい、


 冒険者ランクをあげて後、パーティを立ち上げるしかございません」


「「えええええええええ」」


俺も南も驚いた。紹介状がないと冒険者になれない事は知っていたけど


 パーティを作れない事はしらなかった


「どうしよう」


「いや、誰かのパーティに入れてもらうしかないよ」


「そうする事をおすすめします」


こうして俺たちは冒険者になった。だが、パーティは作れなかった


 冒険者はパーティでないと大抵の依頼が受けられない


 それで、その日は薬草や食糧となる森の木の実などの採集の依頼をこなした


 もちろん稼ぎは悪い。1日で安宿の宿賃にもならない


「困ったわね。これじゃすぐに手持ちのお金がなくなっちゃう」


「やはり、パーティに入れてもらおうよ」


「でも、冒険者って怖い顔の人ばかりよ」


「そうは言っても他に方法がないよ」


「私たち女の子なのよ。意味わかるわよね」


「ああ、仲間に襲われる可能性がある」


「信頼できる人じゃないと危険よ」


「まともそうな人を探すしかないよ」


「そうね、明日はパーティに入れてくれそうなまともそうな人を探しましょう」


「ああ」


こうして俺たちは冒険者になった。前途多難だが......

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