初めての冒険
夜叉王とパーティを結成した俺たちは早速魔物討伐依頼を受けた
『ランクD オーク討伐10匹』
夜叉王が選んでくれた。夜叉王の腕だと1人でも簡単に達成できるそうだ
俺たちFランクを連れての事なので、この位のランクにしたとの事だ
「無理はするなよ」
「「はい」」
パーティリーダーの夜叉王が声をかけてくれる
夜叉王は極めてまともな人間、いや亜人だった
むしろ、他の冒険者より紳士的で、物腰も柔らかい
オークの出没地点に来ると夜叉王がピリピリし始めた
魔物に奇襲されたりする事もある、だから慎重らしい
俺たちは冒険者としての経験がない、
今まで試練の塔とか、ダンジョンは攻略したし
ドラゴンを討伐したりした。だが、試練の塔もダンジョンも奇襲を受けたりしない
ドラゴンも斥候として騎士の人達が先行してくれていた
本当の意味の魔物討伐の経験は俺たちにはないのだ
「いた、オークの群れだ」
「本当だー」
「わー本当、顔は豚なんだ。きもい」
「高野、魔法攻撃で数を減らしてくれ」
「はい」
「高野の魔法攻撃が終わったら、二人で剣で、殺る」
「はい」
俺たちは南が剣職、俺が魔法使い職と説明していた
俺たちの経歴を隠す為だ。いきなり南が魔法ぶっ放したら、目立ちすぎる
もちろん、夜叉王との信頼関係が結べたら、少しずつ本当の事を言おうと思った
「炎よ、岩を砕き、貫く矢となりて、我が敵を焼き尽くせ!『フレアアロー』」
俺のフレアアローが発動する。もちろん、メタノールも火薬もないやつだ
オーク1匹に直撃する
続けて俺は3発のフレアアローを放った
「よし、行くぞ」
夜叉王は声をかけた
「はい」
俺は待機、支援役
夜叉王と南が剣で戦う、俺は南が怪我をしないか心配だ
南は小学校の頃から剣道をやっていた。剣の腕はある、だが、実戦は初めてだ
『斬』
夜叉王がいともたやすくオークを屠る
『斬』
続いて南がもう一匹
戦いが続くが
!
南が躓いた
「痛い!」
南が足を挫いた様だ
俺はすかさず魔法を唱えた
『フレアアロー』
「しまった」
俺はつい無詠唱で魔法を発動した
南にオークが1匹迫っていたのだ
『バシュ』
フレアアローでオークが滅びる
『斬』
夜叉王が続いて次のオークを屠る
俺はヒールの魔法を南にかけた
南が戦列に復帰
『斬』
『斬』
夜叉王と南が続けてオークを屠る
『カチン』
夜叉王が剣を鞘に治める
続いて南も
オークは全滅した
俺たちはオーク討伐の証拠のオークの耳を切り取って帰った
「高野、南、隠している事があるだろう?」
「な、なんの事ですか?」
俺はうろたえた。多分、あの無詠唱の攻撃魔法だ
普通、かなりの上級者じゃないと唱えられない
「もしかして、高野君の魔法ですか?」
「それだけでは無い、途方も無い魔力を秘めた剣士に
火の魔法だけでなく、水の回復魔法まで使う魔術士」
「い、いや、それは気のせいでは無いかと」
「我ら夜叉族は生まれながらに魔力を探知できる。隠してもダメだ」
「どうする、高野君」
「少し、話しておこう、信頼が得られなくなる」
「わかった。じゃ、うまく説明してね」
わー、南、丸投げだ。信じられないけど、今の南は雑だ
「その、南は賢者です」
「それ言っちゃうの?」
南が突っ込む。任せるって言ったのに
「賢者が何故剣で戦う?」
「南は賢者の剣デュランダルを持ちます。だから剣を学び始めたんです」
「デュ、デュランダルだと?」
「あー、もう、高野君、そんなにバラしちゃかえって」
「だって、俺、嘘つく機能ないよ」
「任せた私が馬鹿だった」
「俺もそう思います」
「じゃ、私だけじゃ不公平だから、高野君の事も」
「なんでー」
「自分だけズルいから」
「高野には何があるんだ」
「彼、いや彼女は銃と呼ばれる不思議な武器を使います
詠唱不要で1分間に30発位攻撃魔法を撃てます」
「南、600発だよ」
「高野君はややこしくなるから黙ってて」
「わかった。何か隠さなければならない理由があるのだな
だが、我を信用して欲しい、
戦いの際、お互いの力量がわからないと何かと危険だ」
「「わかりました。次回から、隠さずやります」」
「本当の事を言ってくれた礼に我の秘密も言っておこう
我は夜叉族の王だ」
「「いや、それ知ってます」」
「何故わかるのだ?」
「だって自分で夜叉王って言ってたじゃ無いですか?」
「ただの名前だ」
「「自然に夜叉族の王様だと思いましたよ」」
「そうか?
前のパーティでは厨二だと思われていたのだが」
この人、以外と脳味噌ずぶずぶかもしれない
俺は思った
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