第62話

「それじゃ、オカ宜しくな」

「はい!」


 次の日、パラノーマルの事務所に全員が集まった。


「はは、ダルマ君もフィブちゃんも宜しくね」

「よろしく……」

「よ、宜しくお願いします! 自分、ヒューズさんと一緒の班になれて嬉しいで

す!」


 各班、それぞれ挨拶をしていると、プルが事務所に入って来る。


「皆んな揃っているわね。今日から二手に分かれて情報を集めて貰うわ」


 プルの言葉に全員が頷く。


「昨日も言ったけれど、この事件を追う事によって、多少の危険が付き纏うと思うから絶対に一人行動をしないでね」

「「「「「はい!」」」」」

「ふふ。いい返事ね。そしたら、夕方くらいに一度情報共有の為に集まりましょう」


 朝の朝礼が終わり、各班とも別行動を開始した。


「パークさん、まず何から調べますか?」

「そうだな……まずは現場に行ってみるか?」

「分かりました!」


 オカとパークは外出準備をして外に出る。


「それじゃ、俺達は昨日死体が出た場所に向かうわ」

「あぁ、分かった。パーク気を付けろよ?」

「ヒューズ、お前もな」


 二人は挨拶した後に、パークだけ外に出た。


「オカ、現場に行くのか?」

「あぁ。とりあえず、何か無いか調べてみる」

「気をつけて……」

「おう!」


 三人も挨拶を済ませてそれぞれ行動を開始する。


「それじゃ、とりあえず向かうか」

「はい」


 オカとパークは電車に乗り殺人現場に向かう。


「オカ、今回の事件はどう見ている?」

「そうですねぇ……今の所は都市伝説って言うよりは、ただの頭のオカシイ奴が行った犯行だと思っていますね」

「まぁ、そうだよな。マサオさん見たいな都市伝説の線は普通考えないよな」


 本来なら、殺人犯の犯行だと思うのが普通だが、やはり二人はマサオさんの件もあり、都市伝説の線を捨て切れない様だ。


 オカ達が話していると、あっという間に降りる駅に到着する。


「オカ、現場ってどこら辺だ?」

「ちょっと待ってくださいね」


 オカは、スマホを取り出し現場に向かって歩いていく。

 どんどんと歩いて行くと、次第に人通りが少なくなって来るのが分かる。


「確かに、ここら辺だと助けを求めても誰も気付かなそうだな」

「えぇ。ここが都内だとは信じられない程静かですね」


 しかし、暫く歩き進めると、そこには大勢の人間が居た。


「おう!?」

「凄い人数ですね……」


 死体があったと思われる場所は封鎖されており、人が入れないようになっている。そして、そのギリギリの所まで詰め寄り、色々な人が色々な事をしていた。


 まず、大きなカメラを肩に背負い、現場周辺を撮っている人が居るが、恐らくどこかのテレビ局の人達であろう。

 そして、オカ達と同業者なのかカメラで現場近くを撮影したり、メモ帳などに何やら書いてたりする人も居る。


「それにしても多いですね」

「あぁ。恐らくテレビ局や新聞記者達だな」

「なんか、一般の人達も居ませんか?」


 オカの言う通り、一般の人達も大勢来ていた。どうやら、奇抜な殺され方と言い、変死体と言い興味を唆られて集まった様だ。


「これじゃまともに現場確認出来なそうだな」

「ですね。俺達は少し離れた場所を確認します?」

「それしか無さそうだ」


 オカとパークは現場周囲の調査は諦め、少し離れた場所で調査する事にした。


「被害者が現場に着くまでのルートを辿ってみるか」

「おー。なんかパークさんがマトモな事を……」

「おい、どう言う意味だ! お前と言いブィブと言い俺の事を馬鹿にしているだろ?」

「あはは、そんな事ありませんよ」


 パークの言葉を軽く流したオカは早速、被害者がどの様なルートを通ったか調査を始める。


「あそこに行くまでの道のりとしては、ここからと逆側の二通りか?」

「そうですね。ただ、それは警察も既に調べているとは思いますが……」


 駅から、現場までの道のりが二通りある為、二人は何往復かして何か手掛かりが無いか確認したが、どうやら何も見つからない様だ。


「何もねぇーな」

「えぇ。何かあっても警察が既に押収していますかね?」


 オカが悩んでいると、また何かに見られている感覚になり、周囲を伺う。


(またか……。そして誰も居ない……)


「オカ、どうした?」

「い、いえ。なんでもありません」


 いきなり、周囲を見渡した為、不思議に思ったパークであったが、オカ自身も何かあった訳では無いので、何も言えないのであった。


「結構いい時間になったし、もう少し経ったら戻るか」

「ですね」


 時刻は既に夕方であり、オカ達は三時間以上現場周辺の調査を行なっていた。


(何も無いな……クソ、警察が既に何か見つけて持って行ったか?)


 心の中で悪態を吐いていると、いきなり女性の声が聞こえた。


(オカ……いくら探しても……何も見つからないよ……だって人間の仕業じゃ無いんだから……)


「!?」


 少し聴き辛いがハッキリと声が聞こえたオカは、先程同様周囲を見回す……だが、見える範囲ではパークだけしか居ない。


(また、聞こえたぞ!? 昨日と同じだ……)


 それっきり、女の声が聞こえる事は無かった。


「オカ、戻るぞー。結局何も収穫は無かったな」


 パークは駅に向かって歩き出した。


「一体、何だったんだ……? 幻聴?」


 オカの中には疑問だけ残った……




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