第61話
「ヒューズさん、この弁当美味いです!」
「はは、そうかい? いっぱい食べてくれよ」
「はい!」
「な、なぁ。弁当買って来たのは俺なんだが?」
パークは自己主張する様にダルマに言うが、どうやら聞こえてない様だ。
「なぁ、オカ酷いと思わないか?」
「ダルマはヒューズさんしか見えてないですから気にしないで良いと思います」
少しパークが可愛そうに思いオカが慰めていると……
「ダルマの前だと、その筋肉は無意味……」
「別に目立ちたくて筋肉つけている訳じゃねぇーよ!」
「ふふ、筋肉が動揺している……」
オカを挟んでフィブとパークが言い争いをしている様だ。
「おい、フィブ! 筋肉を馬鹿にしてんじゃねぇーぞ?!」
「私は別に筋肉を馬鹿にしているわけでは無く、パークを馬鹿にしている……」
「そうか、なら良い!」
(いいのか……?)
「ふふ、やはり脳みそまで筋肉……」
フィブが肩を震わせて笑っている。
そんなやり取りをしていると、先程のニュース速報の続きが流れた。
「速報です。先程の続報になりますが、今朝見つかった死体の体内には石が詰め込められていたそうです。発見した人の証言によると、死体の腹部が異様に膨らんでいたとの事です」
先程まで楽しそうに話していたオカ達であったが、速報が流れた途端静まり返った……
(体内に石だと……!?)
「な、なんなのかしら……」
ニュースを聞いて顔を歪めるプル。
「変死体……」
「な、なぁ、この話どこかで……」
「おう。俺もダルマと同じく何処かで聞いた事があるんだよな」
(この殺され方は、一週間前に届いていたメールの内容と同じだ……)
すると、ヒューズがオカの事をチラッと見てから話始める。
「この殺された方は、前にオカ君が見せてくれたメールと同じだね」
「「「「あ!?」」」」
ヒューズの言葉にオカ以外の四人も気付いた様だ。
「確かに……、この殺され方は瓜二つね……」
「という事は、事前に殺され方を予知していたって事か?!」
「そ、そんな事は流石にあり得ないですよ!」
「ダルマ、不可解な事や超常現象はあるんだよ……?」
フィブの言葉には色々な意味が込められているだろう。この言葉を他人が聞いたら、意味が分からないが、マサオさんを経験している、このメンバーにはフィブが何を言っているか理解出来るだろう。
「フィブちゃんの言う通りだね。誰かが予知してメールを送ったのか、それとも犯行予告的な意味で俺達の会社にメールを送ったか、もしくは本当に都市伝説なのかは分からない」
ヒューズが一度言葉を切り、全員を真剣な表情で見回した後に言葉を繋げる。
「だけど、こんな事件が起きた以上パラノーマルとして調べるべきだと思うんだけど、皆んなはどうかな?」
ヒューズからの質問に対して一人一人答える。
「私は賛成よ。会社的にも取り扱うべきかもしれないわね。ふふ、それに私自身、不思議な事や超常現象は気になるわ」
最初は真剣な表情を作っていたプルだったが最後は柔らかい笑みを浮かべた。
「俺も賛成だぜ! これを機に、貧乏会社を脱出しようぜ!」
パークも、気合十分の様だ。
「じ、自分もヒューズさんの考えに賛成です!」
ダルマの考えは言うまでも無いだろう。
「皆んなが賛成なら異議は無い……」
オカ以外の全員が言い終わり、オカに視線が向く。
(俺は……)
オカの考えを話そうとした時、どこからか声が聞こえた。
(オカ、お願い……二人を止めて……)
「!?」
謎の声にオカは部屋内を見回す。
(誰も居ない……なんだ、今の声は?)
「オカ君はどうだい?」
オカが言葉を発しない為、ヒューズがオカの考えを聞く。
「え、えっと……賛成です。何故かは分からないですが、あのメールに書かれていた内容が頭から離れないので俺も調べたいと思っていた所です」
「はは、オカ君なら絶対にそう言うと思ったよ」
オカの返答にヒューズは満足するかの様に笑いながら首を上下に振る。
「ふふ。なら皆んなの意見が一致したわね」
「「「「「はい!」」」」」
「元気な返事ね。それじゃ明日から早速情報集取を始めるわ。内容は先程速報でやっていた事件についてよ! 例のメールの内容と偶然一緒だったのか、それともメールに書かれていた都市伝説と関係あるのか、並行して調べて欲しいわ」
(今回の事件が人意的なものか都市伝説か……)
「明日からは分かれて行動してもらうわ」
「あ、あのどの様な編成になるのでしょうか?」
ダルマがプルに聞く。
「まず、ヒューズ君とパーク君をリーダとして二つの班に分けるわ。そして、私はこの事務所で情報集取する」
(なるほど。六人全員で動くより分かれた方が情報も広く集められそうだしな)
「編成は、ヒューズ班にダルマ君とフィブちゃん。パーク班にはオカ君が入ってもらうわね」
(俺はパークさんの班だな)
すると、パークがオカの背中を叩いて来た。
「よろしくな!」
「こちらこそ、パークさんと組めて嬉しいです」
「お? 嬉しい事言ってくれるな!」
班編成も決まり、明日から本格的に調査を開始する様だ。
「それじゃ、皆んなくれぐれも無理はしないでね? 今から追う事件の犯人がパクトみたいな人間なのか、それともマサオさんの時みたく都市伝説なのかは置いといて、どっちにしろ危険な事には変わり無いのだから」
「「「「「はい!」」」」」
こうして、オカ達は二つの内の一つである都市伝説を追い始めたのだった……
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