第41話

「準備よし」


 オカは、外出用の服を着込み鏡の前で自分の服装をチェックする。


「今から行けば少し見て回れるな」


 本日はフィブとダルマとの会合の日である。


「秋葉で、何か買おうかな」


 オカはウキウキで家を出る。


「フィブとダルマとは一時に集合だな」


 電車で秋葉原に向かっているオカ。どうやら少し早めに行き秋葉原の街並みを見て回る様だ。

 

 電車で一時間程揺られて、車内のアナウンスを聴きながら回る店をスマホで調べる。

 秋葉原に到着したオカは先程スマホで調べたお店を見てから、お昼を食べてフィブ達との待ち合わせ場所まで向かう。


「今日はこの店だな」


 前回同様、長居しても問題無さそうな喫茶店を探しといたオカは秋葉原で買い物した荷物を持ちながら店内に入る。


「いらっしゃいませー」


 亭主だろうか、ダンディな男の人が席を案内してくれて、オカは食後という事もありコーヒーを頼む。


「まだ、来てないみたいだな」


 集合十分前に到着したオカは二人が来るのをコーヒー飲みながら待っていると、フィブが現れた。


「いらっしゃいませー」

「待ち合わせ……」

「こちらにどうぞ」


 亭主に案内されてフィブがオカの座っている席に着く。


「この前ぶりだな」

「うん、ダルマは……?」

「まだ、来てないよ」


 そう言ってフィブもコーヒーを注文して席に座る。


「ん? フィブは何か買い物したのか?」


 フィブの手には買い物袋が握られていた。


「うん、どうせならと思って少し早めに来てた……」

「なんだ、俺と一緒じゃん。フィブ何買ったの?」


 フィブの買った物を見せて貰うと、どうやらフィブもアニメとかが好きらしくアニメが印字されている文房具などを買ったらしい。


「おいおい、なんだよ。フィブもアニメとか好きなのか?」

「うん、好き……」

「俺と同じだな」


 オカも、オカで待ち合わせ前に買った荷物をフィブに見せてアニメの話題で盛り上がっている様だ。


 そんな時に喫茶店の扉が開く。


「いらっしゃいませー」

「ま、待ち合わせです」

「こちらにどうぞ」


 オカとフィブは店の入り口に視線を向ける。


「「あ、ダルマだ」」


 亭主の後ろを大きなタル体型の男が歩いているのが見えた。


「お、おう。二人共久しぶりだな」

「ダルマ、久しぶりだなー」

「久しぶり……」


 ダルマはこの時期だと言うのに汗をかいていて、首に巻いていたタオルで顔の汗を拭いていた。


「お客様、ご注文はお決まりですか?」


 ダンディー亭主が気を効かせてダルマに飲み物の注文を取る。


「コーラ……」

「お、お前が俺の飲み物を決めるな!」

「だって、ダルマはコーラでしょ……?」

「……コーラでお願いします」


 亭主の言葉に勝手にコーラを注文したフィブに対して一瞬思う所があったようだが、結局はコーラを頼んだダルマだった。


「それでこそ、ダルマ……」


 ウンウンと頷きながらダルマを見ているフィブ。


(フィブはダルマの事を完全にジャンクフードなど大好きだな奴と認識しているな)


「お前ねぇ、俺の飲み物勝手に注文するなよな」


 ブツブツと文句を言いながらもメニュー表を開き、パフェを頼むダルマだった。


「あ、いいな。私も何かデザート頼もうかな……」


 ダルマに触発されたフィブもケーキを頼んでいた。


「それにしてもふたりとも久しぶりだな」

「ダルマは、アレから元気にしてたか?」


 余程喉が渇いていたのか、コップのコーラを一気に飲み干したダルマ。


「あ、あぁ。マサオさんの出来事以降は普通の生活に戻ったな」

「ダルマって今何しているの……?」

「な、何ってなんだよ?」


 少し言い辛そうに聞き返す。


「仕事している……?」

「……」

「働いている……?」

「言い直さなくても、言葉の意味は理解しているんだよ!」


 視線を下に向けていたダルマはしっかりとオカとフィブを捉えると。


「仕事してないよ! 悪いか!?」


(ふふ、やっぱり……)


 オカとフィブは無言で拍手する。


「な、なんだよ。馬鹿にしているのか?」

「やっぱり、ダルマは私達の仲間だった……」

「だな。もともと裏切られる心配はして無かったが、良かった良かった」


 オカ達の言葉に最初は訳が分からなかったのか、首を傾げていたが、理由を聞いたダルマは憤慨した。


「お、お前ら最初から俺を無職だと思っていたのか?!」


 二人はコクリと首を頷く。


「ふふ、ダルマは、私達と同じでどこか問題がある……」

「そうそう。だから仲間だと思って、この会合に誘ったんだよ」


 オカとフィブはニンマリした表情でダルマを見る。


「お、お前ら最低だな……」


 一方二人に呆れた声でダルマは呟く。


「俺とフィブでダルマの相談に乗ってあげようと思ってね」

「うん。なんでも話すといい……」

「誰が話すか!」


 それからは前回と同じように、ここ半年間の出来事などを三人で話したりして、あっという間に時間が過ぎていき解散する事になった。


「ダルマ、心配はしてないけど俺達が決まるまで仕事見つけるなよ?」

「うるせぇーよ!」

「心配してないけど、もし決まったら連絡して……」

「お前ら、どんだけ失礼なんだよ!」


 それから三人はまた会う事を約束して解散したのである……

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